岐阜県海津市教育委員会は2月12日、市立小学校で発達障害を持つ特定の児童に対して、別の児童にアンケート調査を実施するなど不適切行為があったと発表しました。またその際の対応に抗議し、同校の教員2人が退職していたこともわかりました。


 事件は2009年10月に発生しました。問題の児童は広汎性発達障害の傾向があり、授業中に照明のスイッチを切る・同級生をたたくなどの行動がみられたということです。保護者会でこの児童への批判が集中し、学校側は同学年の児童に対して実態調査をおこないました。
 『読売新聞』(岐阜版)2010年2月13日付『特定児童の問題行動 教諭、別児童にアンケ』によると、以下の事実が触れられています。
…同校は昨年10月21日、実態把握のため、児童と同じ学年の約70人に、問題行動を確認する調査を実施した。
 調査結果は同日の学年集会で読み上げられ、児童はその後、約2週間にわたり不登校になったという。
(読売新聞2010/2/13『特定児童の問題行動 教諭、別児童にアンケ』)

 実態調査そのものは場合によってはありえるでしょうが、やり方というものがあります。今回の調査では、実施方法に重大な問題があるといえます。学年集会で発表する形でつるし上げる必要などどこにもありません。これでは学校による組織的な児童いじめであり、人権侵害だといえます。
 この問題ではもう一つ気になった点があります。『共同通信』2010年2月12日配信『岐阜の教職員が抗議の退職 学校の障害児童対応で』では、経過について以下のように触れられています。
学校側が児童のイニシャル入りで「(児童の)言動で困ったことがあれば書いてください」などとするアンケートを配布。児童はその後、しばらく欠席し、同校の教員ら2人が学校側の対応に抗議して、退職した。
(共同通信2010/2/12 『岐阜の教職員が抗議の退職 学校の障害児童対応で』)

 『共同通信』の記事は一応事実は書いているものの、問題の核心を省略して前後の事実経過をつなげているために訳のわからないものになっています。これだけを読むと、障害児の行動を問題視して実態調査を実施すること自体がよろしくないかのように短絡的にとられかねません。極端な言い方をすれば、当該児童やその関係者に対する一種の報道被害ではないでしょうか。
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