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 福岡市早良区内の市立中学校3年生だった男子生徒が2010年3月、同級生(当時)からライターオイルをかけられて火を付けられた傷害事件で、被害者側が以前から加害者のいじめを学校側に訴えていたことが、朝日新聞の取材で判明しました。


 『asahi.com』(web版)2010年4月21日配信『「いじめの相談していた」と被害生徒 学校は否定 福岡』が明らかにしています。
 一方で学校側は、いじめ相談があったことを全面否定したということです。
 被害者側によると、2年生の頃から加害者グループから暴行を受け、担任教諭に複数回にわたって相談していました。また目撃した別の生徒も、被害者がいじめられていると学校側に相談したこともありました。
 一方で学校側は何もしませんでした。3年生になってもいじめは続き、卒業目前の2010年2月には被害生徒は加害者グループから連れ出され、家出を強要された形になりました。
 3月6日午後9時ごろ、福岡市早良区内の高架下で火を付けられました。事件から2日後の3月8日、野宿しているところを警察官に保護されて事件が発覚し、警察が加害者2人を逮捕しました。
 事件発覚後の学校の対応(被害者側・学校側双方の主張)は、記事によると以下の通りだということです。
 被害者の親は事件発覚後、学校に連絡。加害生徒の名を挙げ、息子がやけどを負った内容を伝えたという。だが、学校は調査せず、被害者に「加害生徒と顔を合わせないように」と3月11日の卒業式を欠席するよう提案。加害生徒は式に出たが、被害者は欠席した。学校側は翌12日、被害者1人の卒業式をした。
 学校や市教委は「いじめは把握していない。被害者からの相談もない」と主張。卒業式の件について校長は「式で加害生徒と顔を合わせると、トラブルになる恐れがあった。警察の捜査の支障にならないよう調査を控えたため、加害者を特定できず、被害生徒に欠席してもらうしかなかった」と話す。今後も調査の予定はないという。
 これに対し、被害者側は「いじめは周知の事実だった。一度は転校を考え、校区が変わる場所に引っ越しまでしたぐらい。なぜとぼけるのか。卒業式は、他の生徒に迷惑をかけたくない思いで提案を受け入れたが、元々、学校側が調査して対応してくれれば、こんなことにならなかった」と話している。
(asahi.com 2010/4/21『「いじめの相談していた」と被害生徒 学校は否定 福岡』)

 被害者側の主張通りならば、学校側の対応は常識外れだといえます。
 一方で、学校側は調査を控えたことを認め、今後の調査予定もないとしています。被害者が卒業するまで待ち、卒業したから関係ないとでも主張するつもりなのでしょうか。いじめ放置というレベルにとどまらず、実質的にはいじめの共犯に近いほどの悪質さです。
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