長崎県諫早市の長崎日大中学校・高校の生徒寮の寮監だった男性が、寮生への暴力で解雇されたことを不服として地位確認を求めて訴えた訴訟で、長崎地裁は4月27日、男性の訴えを認め、解雇を無効とし解雇から判決確定までの給与相当額を支払うよう命じる判決を出しました。学校側は控訴する方針です。


寮監は2007年6月に寮生に平手打ちなどを加え、2007年7月に解雇されました。
寮監は寮生への暴力を認めながら、「規律違反を注意するのが目的。解雇は重すぎる」などと主張しました。解雇のきっかけとなった事件のほかにも、寮監は寮生に対して日常的に暴力を繰り返していたことが指摘されています。
判決では寮監の行為は「体罰」に該当するもので不適切と認めながらも、他の教員への処分や全国の処分事例を引き合いに出し、解雇は重すぎると判断しました。
判決は不適切ではないかといえます。
確かに全国的にも、いわゆる「体罰」で解雇される例は、直接の暴力で被害者が死亡した場合や、わいせつ行為など他の不祥事との「合わせ技」の場合などに限られていたことは事実です。被害者に瀕死の重傷を負わせたり、「体罰」が原因で被害者を自殺に追い込んだりしても解雇されなかったという事例すらいくつかあります。しかし、そんなものを標準とすることのほうが異常だといえます。全国の処分事例と比較したとしても、そもそも今までの全国の処分事例が甘すぎるだけです。
むしろ今回の学校側の対応こそを標準としていかなければならないぐらいです。それにもかかわらず機械的に遅れた水準を当てはめ、「全国の事例と比較しても重すぎる」などと結論づけるのは、時代に逆行するものです。
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