『毎日新聞』(大阪版)2010年5月5日付に『Watch!:里子虐待事件、大阪市が検証 里親の相談体制強化を /大阪』という記事が掲載されています。


 大阪市では2009年、里親だった女性(当時35歳)が里子へ児童虐待をおこなったことが発覚しました。この事件については、大阪市は2010年3月末に検証報告書を出しました。毎日新聞は独自取材をおこない、事件の背景を探っています。
 記事によると、事件の背景については以下の通りだということです。
 報告書によると、里親には一般的に、児童相談所に本音を打ち明けにくい傾向があるという。この主婦は児童相談所の子育て研修に積極的に参加していたことから、里親としての主婦への評価は高かった。しかし、このことが余計に、主婦に悩みを打ち明けにくくさせていたと推測。再発防止策として、児童相談所以外の相談体制を整える必要があると提案している。

 事件発覚当時の報道によると、この事件の加害者は児童虐待予防地域協力員に登録し保育士資格取得を目指していたといいます。一般的には「児童虐待や子育ての問題について人並み以上の理解がある」と見られがちですが、逆に事件発生の背景となってしまったのならば悲しいことだといえます。
 そういえば、里親による児童虐待事件は大阪市の事件のほかにも2009年にいくつか報じられました。一方で、長年里親活動をおこない地域での里親活動の中心となっていた人物(北海道)や小学校教諭(宮崎県)といった、一般には「人並み以上の知識と理解がある」とみなされるような立場の人物が加害者となってしまった例もありました。
 大阪市の事件でも、加害者となった里親には、子どもへの接し方について悩みがあったといいます。記事では、里親間の相談体制が整っていないことが問題だという趣旨で、里親らで作る大阪市里親協会や、里親探しや研修などをおこなう社団法人家庭養護促進協会大阪事務所への取材をおこなっています。両団体とも、関係者同士の相談が困難な現状に触れています。里親会への加入率も高くなく、また60代~70代の年配者が多く若い里親は入りにくいことも指摘されています。
 記事では取材の結果を受けて、以下のようにまとめています。
 解決策としては、まずは里親から「どんな相談方法が心理的に抵抗がないのか」を聞いていくことではないだろうか。それをもとに、同相談センターは里親会や同事務所の協力を得て、悩みを話し合える窓口を設け、一人で悩む里親に手を差し伸べてほしい。

 里親への相談体制の充実は、虐待を未然に防ぐためのも必要なことだといえます。効果的な相談体制の構築も同時に求められているといえます。
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