熊本県の私立開新高校の空手部で2007年7月に発生した部員重体事故で、重体になった生徒に暴行を加えたとして暴行容疑で書類送検されたが起訴猶予処分になった顧問教諭(42)について、熊本検察審査会が5月27日付で不起訴不当を議決したことがわかりました。


事故は2007年7月10日から翌11日にかけて発生しました。7月10日の練習中、部員は練習中に突きを受けて脳しんとうを発症しました。顧問教諭は状況を把握しながら直後に走り込みなどをおこなわせました。
翌7月11日、体調不良を訴えて病院を受診したいと申し出た生徒に対し、顧問は練習参加を強要して暴行を加えるなどしました。生徒はその直後に倒れました。しかし顧問はこの生徒を放置し、数十分後に別の教職員が生徒の異変に気づいて119番通報したということです。生徒は急性硬膜下血腫で意識不明となり、同校の自主退学と特別支援学校への編入学を余儀なくされました。
教諭は業務上過失傷害罪では罰金刑が確定したものの、暴行罪については起訴猶予処分となり、両親が審査を申し立てていたものです。
議決では、教諭の暴行を目撃したとする生徒の証言について、「内容に変遷はみられるが、暴行の核心についての事実関係は一貫している」として証言の信用性と暴行の存在を指摘しました。また倒れた生徒を放置したこと自体も暴力行為と指摘しました。
教諭の暴行の存在を指摘したことも、また倒れた生徒を放置したこと自体も暴力行為と指摘したことも、いずれも妥当な判断だといえます。適正な再捜査がおこなわれることを願います。
(参考)
暴行容疑の教諭、不起訴不当熊本、空手部員に障害(共同通信 2010/5/29)
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