兵庫県三木市吉川町の市立小学校で2007年に発覚した児童虐待問題について、三木市長は2010年6月25日付で、この問題に関与した市議会議員の行動について事実調査と再発防止策をとるよう市議会議長宛に要請しました。 三木市ウェブサイト内「議員の問責に係る調査について市議会に要請しました」で明らかにされています。


 この問題は、学校が虐待の兆候を発見して児童相談所に通告し、児童が保護されたというのが発端です。しかし保護児童の父親から相談を受けた「某市議会議員」が校長と接触し、校長は「虐待を発見したのは養護教諭」と漏らしました。
 市議会議員を通じて情報を得た父親は養護教諭に逆恨みし、学校に脅迫めいた電話をかけたり、オープンスクールの際に「養護教諭はいるか」と声をかけながら校内をビデオ撮影して回るなどの行動に出ました。養護教諭は父親と直接接触することはなかったとはいえども、この行為によって強い恐怖感を感じて精神疾患を発症し、2007年11月に休職に追い込まれています。
 2007年12月下旬に一部新聞が事実関係を報道し、2008年1月4日付で三木市教育委員会も事実関係を認めて記者発表をおこなっています。
 校長は「対応が不適切」として2008年2月に訓告処分となりました。また兵庫県弁護士会人権擁護委員会はは2009年1月29日付で、校長の行為を重大な人権侵害として勧告を実施しています。
 養護教諭休職後も父親は、現在に至るまで学校や市教委に対して養護教諭の動向を繰り返し問い合わせ続けているといいます。
 校長から情報を聞き出した当該市議会議員の名前は資料などでは伏せられていますが、資料の中で1ヶ所だけマスク漏れとなっていました。マスク漏れの箇所には「穂積三木市市議会議員」の文字が見えます。(参考:三木市議会の議員名簿
 三木市議会ではこの問題について、事件発覚後も一切調査されていないということです。
 三木市長は「2010年5月下旬に養護教諭が自殺した」「養護教諭の遺族は、当該議員の行為を遺憾に思っている」と明かした上で、調査と議会としての自主的な対応を要請しています。
 当該市議の行為は児童虐待防止法第7条(通報者の安全確保)に抵触する行為であり、養護教諭への人権侵害にもあたります。市議会としては、事実関係の徹底的な調査と、当該市議への厳正な対処をしていかなければならないでしょう。 

このエントリーをはてなブックマークに追加 編集