青森県立青森南高校の男性教諭が、球技大会で成績計算を誤った生徒会役員らに対しクラスの生徒の前で土下座させた事件について、『東奥日報』2010年7月14日付『天地人』が取り上げています。

このコラムでの指摘は、きわめて明快です。

東奥日報『天地人』2010/7/14

誰だってミスをする。校内のクラス対抗球技大会で成績計算を誤ったとしても「ごめんなさい、訂正します」で済む話だ。相手の生徒だってことさら揚げ足取りをしないだろうし、教師がしゃしゃり出る場面でもない。

青森南高校の1年生担任の教師は違った。生徒会役員がミスを謝っても納得せず「クラスで土下座してわびるべきだ」と声を荒らげた。クラスだけでなく「全校生徒に土下座してわびてもらいたい」とも言った。冷静さを欠いて言い募るのでは、とても指導とはいえない。

翌朝、生徒会役員ら3人が担任のクラスに出向いてミスをわび頭を下げた。だが、教師は「それがお前らの誠意か」と問い詰めた。世間ではこれを難癖を付けるという。3人はたまらず土下座した。なんと陰湿で息苦しいことか。学校というところは、もう少しさわやかな風が吹いていると思っていたが。

教師は野蛮な言動で人権を踏みにじった。人権の尊重は社会の常識でありルールなのに、学校はものさしが違うのか。校長は人間の尊厳を教師に教える特別授業をし、職員会議では基本的人権の尊重をうたう憲法と、学校教育法の体罰禁止条項をみんなで唱和したほうがいい。

屈辱を味わった生徒会役員だけでなく、土下座を目の当たりにした1年生の心にも傷を負わせてしまった。教師と校長は、生徒や保護者に行き過ぎをわびた。深く頭を下げても土下座はしなかった。自分がしたくないこと、できもしないことを他人に強いてはならない。


この教諭がおこなったことは、きわめて悪質な人権侵害であり、同情の余地など一切ないことです。記事が指摘しているように、きっかけとなった成績集計ミスについては、生徒会役員が訂正したらそれで済んだことです。

たかだか球技大会の成績集計ミスなど、間違いに気づいて訂正したのならば大したことではありませんし、常識的に考えれば執拗に言いがかりを付ける動機すら見あたりません。

しかしそんなどうでもいいことにしつこく言いがかりを付けていびり倒し土下座を強要するなど、「世間ではこれを難癖を付けるという」そのものにほかなりません。

生徒に土下座を強要した教師は、それよりもはるかに重大な行為である自分の人権侵害行為に対しては土下座しなかったようですが、教育委員会から教師に対して厳罰を下すことと、このような悪質な人権侵害が再び起こらないようにすることが求められます。
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