和歌山県田辺市(旧大塔村)で8月9日、妻の連れ子の5歳女児を殴ってけがをさせたとして、継父(29)が傷害容疑で逮捕される児童虐待事件が発覚しました。この事件について和歌山県紀南児童相談所が2008年2月に虐待疑い情報をつかんで一家への接触を図りながら、結果的に事件を防げなかった形になったことが明らかになりました。


 『毎日新聞』(和歌山版)2010年8月12日付『田辺の長女虐待:県紀南児童相談所、防げず悔しさ 外傷なく踏み切れず /和歌山』によると、以下のような内容が指摘されています。
 同相談所によると、08年2月、妻の親族から相談を受けた翌日、職員が小畠容疑者宅を訪問。虐待の疑いを指摘すると、小畠容疑者は「証拠あるんか。何しに来たんや」と言って立ち去った。妻には「行き過ぎたしつけは良くない」と指導した。妻は離婚をほのめかし、夫婦関係に悩んでいる様子だった。
 その後、トラック運転手で留守がちの小畠容疑者とは接触できず、妻は面会を拒んだ。

 児童相談所は「保育所には毎日登園し、保育所から児童の異変を示すような通報もない」などとして、出頭要請や立ち入りにまでは踏み込めず、保育所などとの情報交換にとどまっていました。
 2010年8月9日になり、児童の通う保育所がけがに気づいて児童相談所に通報し、児童相談所からの連絡を受けた警察が継父を逮捕したといいます。
 法的には児童相談所の権限は強化されたとはいえども、実際の児童相談所の業務運用としては、虐待を明確に示すような証拠が発見できなければ立ち入りや一時保護などに躊躇する実情が浮き彫りになります。
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