秋田県大館市立中学校3年の男子生徒が10月1日に自殺した事件で、両親が「原因は教師と生徒の複合的ないじめ」として再調査を求めていることがわかりました。


 新聞報道によると、生徒は志望高校の体験入学に参加する予定でしたが、学校側はこの生徒にだけ参加希望用紙を渡しませんでした。9月中旬の体験入学当日に志望校に集合したものの、用紙未提出を理由にして中学校の引率教師がこの生徒だけ帰宅させたといいます。
 また自殺当日には、別の生徒の学生服が刃物のようなもので切られる事件が発生し、学校側はこの生徒を一方的に犯人と決めつけて注意したといいます。生徒は「何もしていない」と両親に話した直後に自殺したといいます。
 大館市教育委員会は「いじめはなかった。両親がこれ以上の調査を望んでいない」と発表して調査を打ち切りました。しかし両親側は調査打ち切りを要望したことはないとしています。
 判明している事実だけみても、教師によるいじめとみなして差し支えないと判断できます。
 体験入学の件については、参加希望用紙を渡さなかったのが故意での嫌がらせなのか事務的なミスなのかまでは、現時点ではわかりません。しかし当日、中学校の引率教師が参加させずに追い返したのは明らかにおかしな対応だといえます。
 引率教師はこの生徒を帰宅させた理由について「申し込みせず体験入学するのはルール違反で、生徒のためにならないと考えた」と話したといいます。しかし、中学校側のミスで参加希望用紙が渡らなかったために申し込みができなかったことはいうまでもありません。それを棚に上げて「ルール違反」と居直っても、悪質な嫌がらせでしかありません。
 引率教師は、高校側に「中学校側のミスで申し込みできなかった生徒がいる」と事情を説明して、飛び入り参加の形になるが生徒を参加させてほしいとお願いするのが筋でした。
 調査打ち切りの手法も、学校・教育委員会にはよくあることとはいえども、常識外れだといわざるを得ません。「両親が調査を望んでいない」という嘘まででっちあげて調査を打ち切ったが、当人から「そんなことを言った覚えはない」と反論された問題は、以前にもどこかの学校で似たような事件があったような記憶がありますが、ここでも発生したのかという感じです。
 重大なミスをした教師をかばうため、事実を闇に葬り去ろうとした行為はきわめて悪質です。
(参考)
◎大館の中3男子自殺、両親「原因はいじめ」 市教委に再調査要請(秋田魁新報・web版 2010/11/29)
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