北海道札幌市北区で2008年4月、全身に傷のある2歳女児が病院に搬送され、同年5月に死亡していたことが2009年2月までにわかりました。虐待の可能性があるとみて北海道警が捜査をおこなっているということです。


 この問題について、死亡半年前の2007年11月にこの児童の祖母が、児童の様子について札幌市北区の保健センターに行政相談に訪れていました。相談内容はネグレクト(育児放棄)をうかがわせる内容でしたが、保健センターが受けた相談内容を児童相談所へ連絡せず、情報照会のみにとどめていたことがわかりました。新聞報道によると、経過は以下の通りだということです。
▼同センターの佐々木泰子担当部長によると、女児の祖母は07年11月、センターを訪れ「発育が遅れている。服もサイズが合わず汚れている」と相談したことでセンターは翌日、市児相に一家の情報を照会。児相は、女児の出生時に母親が養育できない女児の兄を数カ月預かった記録はあるが虐待を疑わせる兆候はないと回答。だが、センターは衣服の汚れや発育不良などの情報は伝えておらず、市児相の柴田和永担当部長は「情報が入れば実態調査などの対応をしている」と語った。(『毎日新聞』2009/2/7 「札幌・女児不審死:祖母が育児放棄相談 センター、児相に情報伝えず /北海道」)
▼07年11月、別の親類が同センターを訪れ、女児について「発育が遅れている」「サイズの合わない汚い服を着ている」などと相談をしていた。同センターは児童相談所に問い合わせたが、具体的な調査などは行わなかった。(『読売新聞』2009/2/7 「虐待か、札幌で2才女児死亡…半年前に親類が行政相談」)

 札幌市は2月6日に記者会見を開き、相談があったことを認めた上で「相談内容に関する情報が伝えられていれば児童相談所が調査していた」とする見解を示しました。
 確かに、児童相談所に情報を伝えていればその後の経過も変わっていたのかもしれません。虐待に対する対応や関係機関の連携体制について考えさせられる事例です。何よりもこういう事件を繰り返してはいけません。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集