「学習塾向けの教材に作品を無断引用されるなどした」として、作家や詩人など19人(故人の遺族含む)が、教材出版社「学書」(名古屋市)を相手取り、教材の出版差し止めと損害賠償を求める訴訟を準備していることがわかりました。7月21日にも提訴するということです。


 訴訟を準備している作家らによると、中学生向けの国語教材に19人の作品24点が無断使用され、また問題用に削られたり改変されたりして著作者人格権を侵害されたとしています。
 一方で学書は「別の出版社に教材転載許可申請を代行してもらい、許諾を得た。申請漏れがあるなら対応する」としているということです。
 教科書や入試問題など学校教育の場で使用される教材については、著作権法上の例外規定があり、手続きがゆるめに設定されています。しかし学習塾の教材や、いわゆる「赤本」など入試過去問題集については、一般の著作権と同等の手続きが適用されると解釈されています。
 訴えを起こす、絵本作家で俳優の米倉斉加年さん(75)は、「お金の問題ではなく、塾という教育の場で著作権が軽んじられていることがけしからん」と話している。(読売新聞2009/7/20『谷川俊太郎さんら19人、塾向け出版社提訴へ』)

 作家の著作権と学習塾の教育活動は、本来は決して相反するようなものではないでしょう。国語の教材では、漢字テストや学習塾関係者による教材向け書き下ろし文章などだけではなく、作家の作品を使うことも学習としては不可欠になってきます。作家の著作権を尊重しながら国語教材を適切に作成される方策をとっていくことが重要になってきます。
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