東京都教育委員会は、都立高校の推薦入試を大幅縮小する方向で検討する方針を決めました。11月12日の教育委員会定例会議で、検討委員会の設置が決定したということです。


 東京都では約9割の学校・募集人数換算では約4分の1の生徒を対象に推薦入試を実施しています。推薦入試では学力試験を課さず、調査書(いわゆる内申書)・面接・小論文などで選考しているということです。
 公立高校での学力試験を課さない推薦入試(もしくはそれに準じるもの)は、一度も導入したことのない大阪府を除き、各地で実施されてきました。その一方で近年になり、入学者の学力不足の傾向などが指摘され、廃止・見直しの動きも広がっています。
 『毎日新聞』2009年11月3日付『高校入試:公立高「学力」重視へ 広がる推薦廃止 中学生のレベル低下背景』によると、和歌山県では2007年度・静岡県では2008年度より全受験生に学力検査を課す入試へと変更しました。また青森・埼玉・高知の3県では2010年度、千葉・徳島の2県では2011年度より、また宮城県では2013年度より、全受験生に学力検査を課す入試へと変更する予定です。
 調査書(内申書)などが大きな比重を占める高校入試制度は、大きな問題があります。「内申点」を上げるために中学校生活が萎縮し、教師の前だけで「よい子」ぶる者が増え、結果的に管理強化や生徒の問題行動などにつながっていく危険性につながります。また教師の側も、気に入らない生徒に恣意的に低評価を付ける危険性もあります。
 推薦入試やそのたぐいのものは全廃でも差し支えないのではないかと個人的には思いますが、関係者の意見をていねいに集約して結論を出すことを願います。
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