横浜市立奈良中学校の柔道部で2004年12月24日、顧問だった教諭(現在は横浜市立上郷中学校に異動)が当時3年生だった部員に柔道技をかけて硬膜下血腫などで一時意識不明の重体にさせ、高次脳機能障害などの後遺症を負わせた問題で、横浜地検は12月17日、教諭を再び不起訴処分にする方針を関係者に伝えました。

10月に不起訴処分が決定し、12月2日には検察審査会が「傷害罪での立件は困難だが、業務上過失致傷罪が成立する」として不起訴不当を議決しました。

業務上過失致傷罪の公訴時効は5年となっています。公訴時効は1週間後の2009年12月23日となるので再度の検察審査会への申し立ては時間的に困難なため、不起訴が確定する見通しになります。

折しも同じ12月17日には、埼玉県の柔道部重体事故で指導教員の過失を認める逆転判決が東京高裁で出されました。

一方で「柔道部での練習中に意識不明」という意味では類似した部分もある奈良中学校事件でこのような決定が出されたということは、残念に思います。しかも奈良中学校事件では事件当時、「練習」を装って一方的なリンチを加えたことも指摘されています。

状況から不起訴の可能性もありえるとは以前から頭では理解していたものの、実際に不起訴の知らせを聞いて落胆しました。

不起訴処分とはいえども、犯罪の疑いがないから不起訴になったというわけではありません。法制度の穴に引っかかった形で立件できなかっただけといっても過言ではないでしょう。刑事事件としては裁けないだけで、事件そのものに対する責任が消えるというわけではありません。

この事件では民事訴訟も並行して争われています。民事訴訟で教諭個人および横浜市の責任を全面的に認定するような判決が出るよう願います。
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