大阪市立中学校に在学していた男性(現在17歳)が、同級生からいじめを受けたとして、元同級生や学校管理者の大阪市を相手取った訴訟で、「元同級生は、被害者宅の周辺に近づいてはいけない」という条件を加えた和解が、2007年12月に大阪地裁で成立していたことが分かりました。


 いじめ事件で、加害者の行動を制限するような和解が成立したのは珍しいということです。
 複数の報道によると、事件の概要はおおよそ以下の通りだということです。
 原告の男性は2003年4月に大阪市立中学校に入学した。その直後からいじめが始まり、元同級生が原告男性に対して日常的に顔などを数十回殴る暴行や恐喝などを繰り返した。2年生だった2005年2月には、股間を蹴られて入院加療を要するけがを負い、2008年1月時点でも後遺症が残っている。学校側はいじめを把握しながら、口頭注意だけにとどめ、十分な対応をしなかった。
 大阪地裁は2005年6月、元同級生に対して、校内で原告男性(当時3年生)に近づかないように命じる仮処分を出した。また原告男性は卒業直後の2005年6月に、元同級生と大阪市を提訴した。大阪地裁が和解勧告をおこない、2007年12月に和解が成立した。

 悪質ないじめが起こっていたことに、被害者の心情を察するとあまりあります。しかも卒業までほとんど実効的な対策がとられなかった上、暴行によるけがの後遺症まで残ってしまったという悪質なものです。
 これまでの被害者や家族の受けた精神的苦痛を考えると、このような和解がなされたのは当然のことだといえます。また同時に、「いじめ加害者が被害者宅周辺への立ち入ることを禁止する」ということは、いじめ関連の訴訟ではあまり例をみなかったことという意味からも、意義は大きいのではないかといえます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集