静岡市立中学校1年だった2002年、当時の担任教諭から障害者差別的ないじめに遭い、卒業式の際にも英語圏で「厄介者」を意味することわざ「黒い羊はどこも群れにでもいる」などとした寄せ書きをこの教諭から書かれて精神的苦痛を受けたとして、元生徒の女性(今春高校卒業)が静岡市を訴えていた訴訟で、3月28日に静岡地裁で和解が成立しました。

生徒側によるとこの教諭は、生徒の家族に障害者がいることを理由に障害者差別的発言をおこなった上で暴行を加え、またクラスの他の生徒に対してこの生徒に近づかないように発言しました。さらに教諭はこの生徒に対して、別室に隔離しての登校を命じました。2~3年次には担任は別の教諭に交代しましたが、生徒は一時不登校になった上、卒業まで別室登校を余儀なくされたということです。この生徒が卒業する際には、教諭は「黒い羊」の寄せ書きまでおこないました。

静岡市は「黒い羊」など一部については認め、2005年に教諭を文書訓告処分にしています。教諭はその直後に退職しました。教諭本人は生徒への謝罪を拒否し、また退職後に静岡市教委が事情を聴きたいと接触を図っても拒否し続けたということです。

静岡市は、障害者差別発言・暴行・別室登校を放置した学校側の責任など、生徒の主張の一部については「教諭が調査に応じないため事実関係が確認できない」としたままです。裁判の上では和解という形にはなったものの、肝心の事実関係の解明については不十分なまま終わる形になります。

まず、このような「生徒いじめ教師」は、存在自体が問答無用で許されないものです。教師としての資質以前に、人間性としても問題です。そもそも生徒を傷つけるような輩は、教師の職務とは相容れません。学校や教育委員会は、例えば「日の丸・君が代」など教師の職務にとってはどうでもいい・他人を傷つけるわけでもないようなものには躍起になるのに、なぜ「教師の生徒いじめ、教師の対生徒暴力」には及び腰になるのでしょうか。

今回の事件では、被害者の女性は先生を雇うときは成績だけでなく人間性を見てほしいもう二度と私みたいな思いをする子を出さないようにしてと訴えたということです。静岡市教育委員会はこのことを真摯に受け止め、二度と同じような事件を起こさないような対策を講じるべきです。また静岡市だけの問題ではなく、「教師による児童・生徒いじめ事件」は全国各地で発生していることからも、全国の教育関係者は被害者の声に耳を傾け、このような「生徒いじめ教師」を根絶する手だてを取るべきです。
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