高校日本史教科書の「集団自決」検定問題で、記述修正に向けて執筆者らが求めていた再訂正申請がおこなわれない見通しになったということです。


 「集団自決」の記述については、訂正申請をおこなってもまだ不十分だったことから、執筆者は再訂正申請を求めていました。しかし多くの教科書会社が再訂正申請には消極的でした。印刷等にかかる時間を逆算し、新年度の使用に間に合うように申請をおこなおうとすると少なくとも12月中旬には訂正申請の結果が出ていないと間に合わないことから、申請がおこなわれない見通しになったとされます。
 訂正申請が出来なかった場合、執筆者らは文部科学省に対し、何らかの声明をおこなうことも検討しているということです。
 「集団自決」で「軍の強制」が削除された要因のひとつとなった『沖縄ノート』訴訟については、一審・二審ともに原告の訴えが退けられ、著者の大江健三郎氏・発行元の岩波書店の全面勝訴となりました。そもそも一つの訴訟が提訴されたことが原因で記述を変更すること自体が極めて政治的です。原告側は上告しているといえども、訴訟でおこなわれた主張については裁判でも退けられていますし、そもそも裁判以前に学問的にも退けられているものです。
 特定の政治的意図に基づいた記述を押しつけたという点は極めて問題であり、本来ならばそういった措置を徹底的に撤回するという意味で、再訂正をおこなって学問的知見を反映した正当な記述へ回復させることは当然だといえます。
 来年度には間に合いそうもない見通しになったということですが、撤回についてはねばり強く求めていかなければなりません。
(参考)
「集団自決」記述修正、困難に 申請なしや難色示す(琉球新報 2008/12/5)
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