北海道滝川市立江部乙小学校のいじめ自殺事件で、自殺は教諭らの対応が不適切だったなどとして、自殺した児童の母親が12月19日、北海道と滝川市に対して計約7600万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こしました。

 当時6年生だった児童はいじめを苦にして2005年9月に自殺を図り、2006年1月に死亡しました。学校側はいじめを把握しながら防止しなかったことや、自殺した児童がいじめを訴える遺書を残していたにもかかわらず学校側や滝川市教育委員会・北海道教育委員会が調査を怠ったとしています。

 この自殺事件では、遺族から遺書を読んでほしいと依頼された滝川市教育委員会幹部が「遺書ではなく文書。読みたくない」などと遺族を怒鳴りつけて口論となったことや、2006年10月に新聞報道されて初めていじめの事実を認めたことなど対応の不手際が目立ち、いじめ問題が再び社会問題化するきっかけともなりました。また北海道教育委員会については、滝川市教育委員会経由で遺書のコピーが送付されたにもかかわらず担当者が紛失していたことも明らかになっています。

 提訴に至った理由として、「うちの子に何があったのか真相を知りたいのです」「市教委を通して、知ることに努力をしてきたが、進展のないままになっています」(母親の手記)としています。事件発生から3年以上、大きな社会問題となってからでも2年以上たっても、問題には進展が見られていない様子です。

 事実関係を明らかにしていくことが遺族の願いですし、また同種の事件の再発防止にもつながります。
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