平安女学院大学旧びわ湖守山キャンパスをめぐる一連の問題で、キャンパス跡地を平安女学院が守山市に無償譲渡したのちに守山市が学校法人立命館に無償譲渡したという問題がありました。この問題について「守山市に損害を与えた」として守山市・平安女学院・立命館を相手取り、住民が2007年3月13日、損害賠償を求める訴訟を大津地裁に起こしました。


 この問題は(1)平安女学院大学が同キャンパスを閉鎖して2006年度に大阪の高槻キャンパスに統合した問題、(2)旧守山市立守山女子高校を学校法人立命館に移管させて2006年度に立命館守山高校に移管した上で2007年度に同キャンパス跡地に学校を移転させる問題、の二つの問題が複雑に絡み合っています。それぞれの問題で反対運動が起き、大学移転の問題では学生が就学権訴訟を起こし(法的には最高裁で上告不受理が決定)、また高校の問題でも反対運動が起きました。
 守山市・平安女学院・立命館の複雑な関係については、以下の新聞記事でまとめられているので、記事をそのまま引用します。
平女大跡地 立命へ譲渡 守山市に賠償求める 元市議男性が提訴〔『京都新聞』2007/3/14〕
 滋賀県守山市の平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡地をめぐり、市が、跡地に高校を開校する学校法人・立命館に、土地を無償譲渡するなどして損害を与えたとして、元市議山本利男さん(57)が13日、山田亘宏市長に、土地と建物の評価額約32億円を学校法人・平安女学院と立命館と連帯して市に支払うよう求め、大津地裁に提訴した。
 訴状によると、市は2005年、キャンパスの移転を表明した同大との間で、誘致時に交付した約25億の補助金返還を免除し、県の補助金約6億円の返還を肩代わりする代わりに、同大が跡地を市に無償譲渡することで合意した。市は10月、守山女子高を立命館守山高として引き継ぐ立命館に無償譲渡した、とされる。
 山本さん側は「補助金は4年生大学誘致のための支出だったのに、補助金返還の免除の経緯などが不透明」と主張している。山田市長は、山本さんによる住民監査請求が退けられたことから「結論が出ている」とコメントした。

 滋賀県や守山市は平安女学院大学誘致のために補助金を出しましたが、当の平安女学院大学びわ湖守山キャンパスはわずか5年で撤退しました。大学運営にとってわずか5年での撤退というのは、超短期と言っても過言ではないでしょう。また、守山市・平安女学院・立命館の関係についても、これ以外に手はなかったのかという気がします。
 平安女学院大学びわ湖守山キャンパスで学んでいた学生は、卒業まで4年間守山で学べると信じて疑わなかったにもかかわらず、突然大阪に移転させられた形になりました。学校が移転するという例はほかのところでもありましたが、その場合は通常「在学生については卒業するまで旧キャンパスで在学させる」「在学生ごと新キャンパスに移転させる場合は、早い時期に移転を告知し、在学中に移転する学生には受験時点であらかじめその旨を知らせる」などの措置をとっていることが多いようです。しかし同キャンパスではそういうこともなく、在学生は「1年後に移転」と突然告知された形になりました。
 また守山女子高校の問題についても、立命館への移管は生徒や保護者にとっては寝耳に水の話だったということです。
 何よりも大学や高校で学んでいる当の学生・生徒を無視し、また補助金の元となっているのは守山市民・滋賀県民の税金であることを無視し、政治的決着でこのような措置をとったことが妥当なのかどうか、この機会に改めて問われるべきではないかと考えられます。
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