神奈川県小田原市の神奈川県立小田原城北高校で2002年5月、体育の持久走の授業中に1年生の男子生徒が倒れ、同日の帰宅後に死亡した事故がありました。


 この事故に関して「生徒が保健室に運ばれたあともけいれんを繰り返すなどしていたにもかかわらず、学校側はすぐに医療機関を受診させなかった過失がある」などとして両親が神奈川県に対して損害賠償を求めていた訴訟で、11月2日に横浜地裁で和解が成立しました。

 事故の際に体育教諭は「過呼吸」と判断して保健室に生徒を連れて行きましたが、保健室で寝かされた生徒はけいれんを繰り返すなどの症状を発症しました。養護教諭や担任教諭ら学校側は救急車を呼ばずに、生徒を自宅に帰しました。生徒は意識混濁状態で帰宅したのちに救急搬送されましたが、搬送後病院で急性脳腫脹による死亡が確認されたということです。

 和解条項は和解金のほか、早期に医療機関を受診させなかったことへの県から両親への陳謝、神奈川県は同種事故発生防止措置を講じるといった内容も含まれています。

 学校での事故は一定数発生しています。中には、「適切な措置をとれば回避できたのではないか、または適切な措置があれば被害を最小限にとどめて重大な事態にまで陥らなかったのではないか」と思われるような学校事故も多くあります。事故の発生防止や被害を最小限にとどめることなど、対策を徹底させることが必要なことは、いうまでもありません。

 今回の和解条項に、同種の事故の発生防止措置を講じることが和解内容に含まれていることは、一歩前進だといえます。
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