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セクハラ、体罰根絶を 県教委が校長集め会議〔『中日新聞』長野版 2006/1/26〕
県教育委員会は二十五日、教員による体罰とセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の根絶を目指し、県内二カ所で小中学校と自律学校の校長を集めて会議を開いた。丸山教育長は緊急メッセージを出し「大人による“力”の行使が時と場合によって許されるなら、子どもも暴力を正当化する。教育関係者一人一人がもう一度根絶に向けた誓いを新たにしてほしい」と訴えた。
県教委によると、二〇〇四年度中に体罰で懲戒処分を受けた教員は七人。本年度も一月現在で六人に。六人のうち五人は小中学校の教員。県教委は「教育の信頼の根幹にかかわる問題」と危機感を強めている。
会議は県庁と総合教育センター(塩尻市)で同時に開き、県庁講堂には東北信の校長約二百八十人が集まった。
体罰またはセクハラの事例をもとに問題点の共通認識を図ったほか、複数のグループに分かれて根絶に向けた取り組みを話し合った。代表して討議結果を発表した校長は「教員の人権感覚は簡単には変わらない。だから情報の共有化を図り、人の意見を取り入れる心の窓をいかにつくるかが大事」と指摘した。(中沢 稔之)
大人による“力”の行使が時と場合によって許されるなら、子どもも暴力を正当化する。教育関係者一人一人がもう一度根絶に向けた誓いを新たにしてほしいという、丸山・長野県教育長の訴えは、「体罰」問題に対する核心をついたものだといえます。
「体罰」と子どもの心理との関係についての調査でも、「体罰」を受ける頻度が多い子どもほど、物事を暴力的に解決する傾向がみられたり、同級生へのいじめにつながりやすいなどの傾向が出ています。また、「体罰」を正当化する一部の大人の態度を真似て、子どもも暴力を正当化するということがあります。
「体罰」は、現代の教育とは決してあいいれないものです。また子どもに対して、心身に傷を負わせることはあっても、教育上好ましい効果を生むようなものではありません。
しかし残念ながら「体罰」事件は、報道されたものだけでもひと月当たり何件も起こっています。表面化しないものも含めれば相当の数になると推測せざるを得ないでしょう。子どもの権利を守り、子どもたちがすこやかに成長できる条件を作っていくためにも、「体罰」を廃絶する空気を学校に浸透させていくことが重要になってきます。