高校教科書の検定結果が、3月29日に公表されました。
 全体としては、「発展的な内容の導入」と「基礎・基本の徹底」に教科書が二分化する傾向があるということです。

 しかし、社会的に意見の分かれる内容に関しては、政府見解に沿った記述が求められる傾向が強まったということです。

 領土問題に関しては、「竹島や尖閣諸島は日本固有の領土」として、強い表現で書くことを求められたようです。
 また、首相の靖国神社参拝を違憲とした福岡地裁判決(2004年4月)については、「国の実質勝訴」と位置づけている政府見解に沿った記述が求められたということです。
 イラク戦争や自衛隊の海外派遣についても、政府見解に基づいた記述が求められました。

 地歴科・公民科(社会科)の教科書だけではなく、家庭科でも「母子家庭・父子家庭に触れる記述」「ペットを家族と見なす考え方」についてクレームが付いたということです。

 これらの問題に関しては、必ずしも一つの答えに収まるという性質のものではありません。一人一人が事実関係をしっかり学び、学んだ成果をもとに多面的な角度から考えて、社会的に答えを作っていくものだといえます。

 これらの問題では、政府見解に沿った記述だけでなく、主要な意見・主張を各論併記するなどの工夫が認められるべきで、そういったことが認められなかったのは残念に思います。
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