「大阪府立高校に通っていた2010年、器械体操部で鉄棒の練習中に落下し、重い障害が残った」として、元生徒の男性が大阪府を相手取り約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪高裁は12月15日、学校側の過失を認めなかった一審判決を取り消し、大阪府に1億9000万円あまりを賠償するよう命じる逆転判決を出した。

 事故は2010年4月に発生した。大阪府立三島高校(高槻市)の器械体操部員だった生徒は、練習中に鉄棒から落下した。生徒は首の神経を損傷し、胸より下が動かなくなる障害を負った。日常生活には介助が必要な状態だという。

 事故当時、大阪府から派遣されたコーチが、難易度の高い技を生徒に指導していた。原告側は「コーチは、練習で失敗しても鉄棒を離さないよう指導していた」と訴え、指導に過失があったと主張した。また、事故当時コーチは離れた場所にいて、落下事故を想定して自ら付き添ったり、別の生徒を補助役につけるなどの措置をとらなかったとも指摘した。

 一審大阪地裁では2016年6月28日、「コーチは危険を回避する方法を指導していた」として、生徒側の訴えを棄却する判決を出していた。

 今回の大阪高裁判決では、一審判決を取り消し、危険回避のために技の失敗時には鉄棒から手を離すことなど、失敗時に備えての指導を怠った過失があると判断した。

 事故に遭った生徒が少しでも救済されるような、今回の逆転判決は喜ばしい。大阪府はこれ以上争うことなく判決を受け入れた上で、同種事故の再発防止の検討を図っていくべきではないか。

(参考)
◎高校時代の部活動で重度障害の男性 逆転勝訴 大阪高裁(NHKニュース 2017/12/15)
◎器械体操の練習で事故 大阪府に約2億円の賠償命じる(関西テレビ 2017/12/15)
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集