神奈川県大磯町立中学校での配送弁当方式の中学校給食で、生徒の残食率が突出したり異物混入が相次ぐなどのトラブルが相次ぎ、2017年秋に給食実施を一時休止した問題。

 この問題に関連して、大磯町は4月11日の町議会で、給食の調理・配送業務を委託していた業者「エンゼルフーズ」(東京都北区)との契約を解除していたことを明らかにした。

大磯町給食問題の経過



 大磯町では2016年1月より、町立中学校2校で、業者による配送弁当方式の中学校給食を全員喫食制で導入した。

 同町では初期コストがかさむとして、自校調理方式や給食センター方式などでの実施を見送り、初期費用が安くて済む配送弁当方式を選択した。

 しかし生徒からは「おかずが冷やされた状態で提供されておいしくない」など不評の声が渦巻いていた。給食の残食率は全国平均と比較して突出し、1クラス40人近くいる生徒の中で完食したのは一人だけ、ほとんどの生徒が半分以上残していたなどの状況が新聞報道されるなどした。

 また異物混入事案も続発するなどの背景もあり、大磯町は2017年秋に中学校給食を一時休止し、家庭からの弁当持参に切り替えることにした。同町は当初は同じ業者での給食続行を検討していたが、最終的には休止を決断した形になった。

 休止後の2017年10月より業者との協議を続け、2018年3月30日付で合意に至った。給食の休止から2019年3月末の契約満了期間までに町から業者に支払われる予定だった業務委託金の1割にあたる約192万円を、業者が町に対して、違約金として支払うなどするという。

配送弁当方式で混乱を拡大し、新たな困難を生んだ形に



 中学校給食については、2000年代半ば以降急速に進んでいる。しかしその一方で、近年になって新規に導入した自治体では、配送弁当方式による導入の事例も目立っている。

 しかし初期コストが安いからというだけで安易に配送弁当方式を導入したことで、不要な混乱を生む結果になっている。

 給食を「食育」というなら、初期費用の安さだけにとらわれることなく、きちんとしたものを提供できるように、ていねいな準備をしていかなければならない。

 大磯町での事例は、類似の問題が巻き起こって問題になった大阪市の事例とともに、配送弁当方式給食での失敗の典型例だといえる。

(参考)
◎「まずい給食」業者と契約解除、町に「違約金」(読売新聞 2018/4/12)
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