6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震で、大阪府高槻市立寿栄じゅえい小学校のブロック塀が倒壊して、そばの通学路を通行中の児童が下敷きになった事故。

 この事故について、林芳正文部科学大臣は6月19日の記者会見で、各自治体の教育委員会に対して、学校のブロック塀の点検を求める通達を出すことを表明した。

 また宮本岳志衆議院議員(日本共産党)は6月19日の衆議院国土交通委員会の質疑でブロック塀倒壊事故を取り上げ、安全対策の総点検を求めた。なお宮本議員は発災直後に現場に急行し、現地関係者への調査・聴き取りをおこなったうえで、翌日の質問に臨んでいる。

 文科省担当者も答弁の中で、ブロック塀点検を求める通達を出す意向を表明した。

ブロック塀の問題



 ブロック塀の問題については、ちょうど40年前の1978年6月12日に発生した宮城県沖地震でブロック塀倒壊による死傷者が多数出たことから、ブロック塀の設置基準が強化されてきた。一方で設置時期が古い場所では、そのまま補強などもされていない状態となっている場合もあるという。

 今回の地震で倒壊した大阪府高槻市の小学校のブロック塀については、高槻市の現地でも大きな揺れを観測した阪神・淡路大震災以後の1998年に設置されたとする情報がある。詳細な設置経緯は不明なものの、学校敷地外の道路に面していることで通行人や近隣民家からの視線・プライバシー対策や、近隣民家への防音対策と推定されるが、プールの土台の上にブロックを積み増ししたものだとみられる。

 しかし事故現場の小学校のブロック塀は、必要な補強などがされていない違法建築状態だったとされ、高槻市もそのことを認めたという。

[caption id="attachment_17377" align="aligncenter" width="600"]事故現場のブロック塀 事故現場のブロック塀(googleストリートビューより、2017年4月)。緑色の路側帯部分に落下した。学校側は児童に対して、緑色の部分を通行するよう指示していた。道路反対側は用水路。[/caption]

 高槻市の他の小中学校や、他地域の学校でも、今回事故が発生した学校と同様のブロック塀は多数あるとされる。大阪市では小学校1校で危険な状況が確認されたとして、ブロック塀周辺を立ち入り禁止にし、プールの使用を禁止にする措置をとった。

安全対策の徹底を



 ブロック塀の問題は、児童生徒の安全にかかわる問題でもあり、またそばの道路を通行中の一般市民の安全にもかかわってくる。点検と適切な改善が求められる。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集