石川県金沢市議会は6月25日、国公立大学の入学式・卒業式で国旗掲揚・国歌斉唱を求める意見書を、賛成多数で採択した。

 自民党や「金沢保守議員会」など3会派が提出した。共産党3議員と、「みらい金沢」のうち2議員が反対した。

意見書に関する市議会議論



 提案理由によると、国公立大学の運営には税金が投入されているとして、国旗掲揚・国歌斉唱を求めることは大学自治を侵害するものではないとした。国旗掲揚と国歌斉唱について、国に仕組み作りを求めていくとしている。

 一方で反対討論に立った共産党議員は、政治による教育への介入だと指摘し、学問の自由や大学の自治権を侵害するのではないかと危惧を表明した。

 山野之義市長は閉会後、報道陣に対して、「決議は重く受け止める」「教育の中立性がおかされるとは思っていないが、判断は大学に委ねるべき」とする見解を出した。

政治の教育介入、大学自治への侵害



 今回の件はやはり、政治の教育介入であり、大学自治への侵害である。

 国旗国歌法が制定された当時、強制は望ましくないとする政府見解が出されていた。しかし教育現場ではなし崩し的に強制がされてきた経緯がある。

 「日の丸」や「君が代」については、個人的にどう思うかという心情以前に、教育現場では気に入らない相手をつるし上げて排除するための手段として悪用される状態になっている。

 そして安倍内閣になってからは、国立大学にも押しつけるような風潮も生まれた。下村博文文部科学大臣の時代に言及され、国立大学の一部では導入したところもある。

 「日の丸」や「君が代」については、歴史的背景もあって存在そのものに対する意見が大きく分かれる。さらに、個人的にどういう立場をとっていても、教育現場への支配や介入の手段として強制すること自体が望ましくないという問題もある。

 今回の意見書については、国公立大学に対して政治的な圧力となりうることが懸念されるものである。そもそもこういう意見書を、議会で取り上げるべきではなかった。

(参考)
◎石川)国公立大は国旗・国歌を 金沢市議会が意見書可決(朝日新聞 2018/6/26)
◎金沢市議会 国公立大の国旗掲揚求める 意見書可決 /石川(毎日新聞 2018/6/26)
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