文部科学省が地理歴史科の教科書検定基準に、単元やコラムなどに「偏りのない」記述を求める規定新設を検討していることがわかったと、産経新聞2018年7月25日(ウェブ版)『教科書検定基準に新規定 高校「歴史」偏向防止へ 文科省』が報じている。

 2022年度実施の高校新学習指導要領に合わせた教科書検定からの適用を目指しているとしている。

危険な動きではないか



 産経新聞によると、規定については以下のように指摘されている。

 近現代史などでバランスの取れた記述を求める現行基準では「南京事件の犠牲者数」などの個別の記述が対象で、単元や題材などは対象外だった。

 今回、単元や題材ごとの内容に拡大することで、議論を特定の方向に誘導しないような教科書作成を促す。高校の近現代史では日本をことさらおとしめる授業が問題視されており、教科書の適正化により授業改善が期待される。

(中略)

 例えば日露戦争の位置づけは大陸進出の本格化という一面的な議論になりかねないが、検定基準の拡大で、アジア諸民族の独立や近代化運動を促した視点も加わる可能性があり、多面的な議論が期待される。

(産経新聞2018年7月25日「教科書検定基準に新規定 高校「歴史」偏向防止へ 文科省」)


 産経新聞の教育問題に関する記述は裏側から読む必要があるが、やはりそういうことかと思わざるをえない。

 安倍内閣のもとで、教科書検定基準についても、政府見解に沿った内容を書くよう求められるなど右傾化の傾向が強まった。この路線をさらに強め、さらに教科書の内容全体をコントロールして、それこそ歴史修正主義的な一方的な視点からの授業に統制しようという意図が浮かび上がってくる。

 こういう動きは、極めて危険である。
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