東京医科大学で、女子受験生の点数を一律に減点して合格者数を抑える得点操作が、少なくとも2011年頃からおこなわれていたと指摘されている。

 読売新聞2018年8月2日『東京医大、女子受験生を一律減点…合格者数抑制』が報じている。

 同大学では、文部科学省の私立大学支援事業をめぐって、文科省幹部の息子を不正合格・不正入学させた問題が発覚し、贈収賄事件として捜査がおこなわれている。新たな不正が浮かび上がった形になる。

報道で指摘された内容



 報道によると、同大学ではマークシート方式の一次試験(数学・理科・英語)と二次試験の小論文・面接の結果を総合して合否判定をおこなうが、その際に女子の受験生は女子というだけで点数を一律に減点操作していたという。

入試の公正性を損なうもので問題



 大学入試では、その大学で学ぶための学力レベルを備えているかということだけが選抜基準でなければならない。それ以外の属性を持ち出して、特定の属性にだけ有利または不利な取り扱いをすることはあってはいけない。そういう取り扱いをすることは、入試の公正性を害する問題になってくる。

 今回の東京医科大の対応は、ありえないことである。

 別の大学医学部では2005年、当時50代の社会人受験生が、受験時の筆記試験・面接試験の得点では合格ラインに達していたものの不合格になった。大学関係者から受験生側に非公式に「年齢を理由にして不合格にした」と伝えられていたことが指摘され、批判が起きた。

 こちらは逆に特定属性「優遇」を事前に打ち出して批判が起きたケース。ある国立大学の理学部数学科で女子受験生が少ないから増やしたいとして「女性枠」を設定しようとしたケース(2012年)や、ある工学系の私立大学で女子受験生に一律加点すると入試要項で明記したケース(2017年)では、「性差別」「法の下の平等に反する」と批判が巻き起こった。前者の国立大学では設定撤回となった。

 本人の学力とは無関係の何らかの「属性」要素によって、受験の合否を恣意的に左右することは許されない。大学の合格・入学ということだけではなく、人生そのものを左右する重大な問題になってくる。
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