日本大学応援リーダー部(競技チアリーディング)で監督から学生部員へのパワハラがあったとされる問題に関連して、同大学は8月9日、当該監督を同日付で解任したと発表した。

 パワハラ問題が同日にマスコミ報道されていた。「学生の指導に支障を来す」と懸念していることが理由だという。学内の人権救済委員会で調査中の案件で、パワハラを認定するか近く結論を出すとしている。

事件の概要



 一方で被害に遭った女子学生とその家族は8月9日、代理人弁護士を通じて、事件の事実経過とそれに関する見解を公表した。

 学生側によると、2018年1月下旬の大雪の日、別件で大学の事務室に立ち寄ったとき、応対した事務員がかねてから顔見知りだったこともあり、「これから練習に行く」と話した。これを聞いた事務員が交通状況を心配し、事務員にとっては大学時代の同期の知人でもある女性監督に練習の有無を問い合わせる電話をかけたという。事務員から監督への電話はつながらなかったというが、その直後にLINEで練習中止の連絡が来た。

 監督はその際、「この学生本人と、一緒にいた学生が練習中止を喜んでいた」として、当該学生へのパワハラ・いじめ行為を繰り返すようになった。

 監督は2月5日、「大雪の日に、事務員に頼んで練習中止をさせようとした」「事務員はお前の友達じゃない」などと当該学生に言いがかりをつけ、「お前に言われなくても練習中止を検討していた。お前に指示される筋合いはない」「私に良い顔していれば裏で何やってもバレないと思ったのか」「(他の同期学生を名指しし)同じ代にこんなやついるけども、どう?」「雪の件だけじゃない、今までだってどんだけのことしてきてんの?」などと他の部員の面前でつるし上げた。このことがきっかけで、部の同期や先輩も、監督と一緒になってこの学生をいじめるようになったという。

 2月6日の練習後の同期ミーティングでは、この学生に対して他の学生がよってたかってあることないこと言いがかりをつけての糾弾会もおこなわれた。学生は過呼吸を発症したが、同期学生は「どうせ演技だろう」とさらに中傷した。

 学生はこの日以降、活動に参加できなくなったという。

 学生は大学の各機関に被害を訴え仲介を求めたが、相手にされなかったと訴えている。

 2018年5月にはアメフト部タックル強要の問題が発覚し、「本学は学生の皆さんを必ず守ります。」という声明が出された。学生は意を決して、再び相談をおこなった。しかし「あれはアメフト部の件であり、あなたの件には関係ない」という対応をされたと訴えている。

体質は変わっていない



 監督の暴言に加え、それに加勢した同期学生の部内いじめ。これは明白なパワハラではないか。組織のあり方としても重大な問題だし、加害者の人間性すら疑うと厳しく非難されてしかるべきものである。

 また大学側の体質も、アメフト部の問題以来全く改善されていないということにもなる。監督解任についても、パワハラを認定して指導者としてふさわしくないと判断したからではなく、面倒なことになったから混乱が収拾するまでしばらく身を隠してくれという意向が透けて見える。

 被害に遭った学生の早期の体調回復を願うとともに、こういう人権侵害が起こらないような体制へと抜本的に改善していく必要がある。
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