2018年6月18日の大阪北部地震では、大阪府高槻市で、通学している小学校前の通学路で地震に遭遇した女子児童が、学校プールのブロック塀倒壊に巻き込まれて死亡する事故が発生した。

 この事故に関連して、高槻市が遺族側に対して解決金を支払い和解する方向を固めたことがわかった。『読売新聞』2018年9月25日付『小学校塀倒壊で女児死亡、市が解決金払い和解へ』が報じている。

 遺族側へ支払う金額は非公表としている。高槻市議会に関連議案を提出し、可決・承認を経て正式に和解が成立する運びとなる。

 この事故では、ちょうど登校時間帯に地震が発生したこと、被害に遭った児童は「あいさつ運動」の当番に当たっていたためにいつもより早めに登校していたことなどの要素が重なり、また倒壊したブロック塀の構造にも問題が指摘されていた。

[caption id="attachment_17377" align="aligncenter" width="600"]事故現場のブロック塀 事故現場のブロック塀(googleストリートビューより、2017年4月)。緑色の路側帯部分に落下した。学校側は児童に対して、緑色の部分を通行するよう指示していた。道路反対側は用水路。[/caption]

 倒壊したブロック塀が設置された時期は1990年代以前とも指摘されているが、正式な資料が残っておらず、設置経緯は不明だという。プールは通学路沿いにあったことから、道路を通る通行人からの目隠しのために後からブロックを積み増しされたとみられ、強度に問題が指摘される構造になっていた。

 また2015年に校長が学校・校区の危険箇所チェックをおこなった際に、アドバイザー役となった外部専門家からブロック塀の危険性を指摘されたとして高槻市教育委員会に相談したものの、教育委員会は簡易な目視と打音検査だけで済ませていたことも明らかになっている。

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 地震後高槻市では、市内の学校のブロック塀を撤去し、目隠しフェンスなどに交換することを決めているという。また当該校のプールについては、校内で場所を移設して作り直すとしている。

 遺族への和解と同時に、ブロック塀の危険性が指摘されていたにもかかわらず、なぜ事実上放置してしまっていたのかという点についても、別途検証を要する。また事故現場と類似条件となっている箇所が他にもあることで、その箇所の改修についても早期にしていかなければならない。
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