「子どもと教育・文化を守る大阪府民会議」は10月8日、大阪市内でシンポジウムを開催した。現職の教職員や保護者から、大阪府内の教育現場の現状に関する報告があったとのこと。

シンポジウムでの「大阪の教育」の現状報告



 『しんぶん赤旗』2018年10月10日付『これでいいのか大阪教育 教育・文化府民会議がシンポ』によると、会場からは概略で以下のような発言があったという。

 小学校教員は、産休・育休代替講師が見つからないことや、新学習指導要領に伴う小学校英語や道徳教科化によって多忙化を助長していることを指摘した。

 中学校教員は、大阪府で実施されている「チャレンジテスト」の不合理を指摘した。学校で付けた生徒の評定が1回のテストで変えられる不合理に加えて、2018年は大阪北部地震と台風21号災害によって2度も実施日が延期されたことに伴い、修学旅行の日程を2度変更した学校が出たなど、学校現場の混乱を招いていると指摘した。

 高校教員は、大阪府教委の「高校つぶし計画」の不当性を指摘した。大阪府教委の方針によって募集停止・閉校が決まった長野北高校(河内長野市)は、学校周辺地域の中小企業から「なくなると困る」という声が上がっていることを報告した。

 保護者も発言し、チャレンジテストの学校順位によって子どもの高校入試に影響したこと、子どものクラスで産休の代替講師がなかなか決まらなかったことなどを紹介した。

 特別支援学校の劣悪な環境の問題や、点数主義でテスト対策が横行しているなどの発言もあった。

大阪の教育は深刻な状況に



 産休・育休・病休などに伴う代替教員のなり手が見つからないことや、小学校英語や道徳教科化、教職員の多忙化などといった課題は、全国的にも問題になっている。

 大阪府・大阪市ではそれに加えて、大阪維新の会が首長や与党の座に納まっていることでの「維新政治」による教育破壊により、これらの全国共通の問題にとどまらず、教育のあらゆる分野でひずみ・ゆがみが生まれている。

 「教育基本条例」により教職員の締め付けをおこなっていることで、教員志望者は大阪府・大阪市での教員採用試験受験を避け、また現職教員でも機会と条件のある人は他府県や私学に流出するなどの状況が生まれている。

 「チャレンジテスト」では、高校入試の成績評定が相対評価から絶対評価に移行したことに伴い、「学校・担当教師間での評価の偏りをなくす」として、テストの成績によって学校での成績評定を補正する仕組みとなっている。補正の仕組みはやや複雑だが、事実上大阪府内の公立中学生全員を対象にした相対評価・成績競争のような形にもなり、また学校平均点が生徒個人の成績評定にも左右されることにもなる。

 高校統廃合の問題も深刻化している。「教育基本条例」による「3年連続定員割れの高校は廃校検討」方針や、高校入試制度の度重なる改悪などによって、高校教育にもひずみが出る形になっている。

 これらの大阪の教育の現状、抜本的に改革していく必要があるのではないか。
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