京都府城陽市立北城陽中学校で2018年10月、2年生の中間テストで、社会科担当の男性講師が出題の際に、旭日旗などを問題用紙末尾に印刷していたことがわかった。学校側は「不適切」だとして問題を回収した。

経過



 京都新聞2018年10月27日『旭日旗に「日本人のど根性」のテスト 中学が回収し謝罪へ』によると、以下のような内容が報じられている。

 社会科の中間テストは10月11日に実施され、地理的分野が出題範囲となった。3クラス95人が受験した。問題作成を担当した講師(20代)は、問題用紙末尾の空白を埋めるとして、旭日旗に「世界に見せたれ! 日本人のど根性」の文字を重ね書きしたデザインイラストを掲載した。

 別の教員がこのイラストに気づき、校長に報告した。

 当該講師は「試験に臨む生徒を鼓舞する目的だった」「インターネットでダウンロードした画像をそのまま使った」「軽い気持ちで載せてしまった」などとした。

 校長は「政治的意図はなかった」と判断したものの、「いろいろな受け止め方をされる恐れがあり不適切」として、当該講師と、2年生の授業担当の別の社会科教員を注意したという。

経過について感じること



 今回の経過について、以下の2つの点について、慎重な検討を要すると考えられる。

 一つ目は、旭日旗を安易に掲載したこと。旭日旗については歴史的背景もあり、このような掲載の仕方をすると何らかの政治的メッセージがあるのではないかと受け止められかねないものとなっている。一方で、政治的意図がなかったとしても、歴史的・政治的に慎重な取り扱いが必要なものだということに気づかずに単なるイラスト扱いで「軽い気持ち」で掲載していたということになると、社会科の教員として歴史や時事問題に関する知識に疑問が持たれるという、別の観点からも問題になってくる。

 二つ目は、「世界に見せたれ! 日本人のど根性」というメッセージを安易に使ったこと。受験に臨む生徒を応援する目的ならば「日本人」という集団のくくりにするのが必要なのかという違和感を感じる。国際化が進むもと、外国籍や外国ルーツの生徒が在籍している可能性もあることを考えると、このような文言を安易に使うのはどうかと感じる。

 今回は地理の範囲が出題ということだが、一般的に歴史や公民の出題として、出題内容と絡めて資料として扱う形式で旭日旗に触れること自体はありうることではある。しかし今回のような扱い方をすると、疑問になってくるのではないか。
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