大阪府教育委員会は11月9日の教育委員会会議で、高校統廃合計画について審議した。

 2019年度~23年度の5年間で府立・大阪市立の高校あわせて8校程度を募集停止・統廃合する「再編整備計画」案と、初年度の対象校として、勝山高校(大阪市生野区)と桃谷高校1・2部(多部制単位制=昼間定時制課程、大阪市生野区)を統合する案を決定した。

 今後高校廃止の関連条例が大阪府議会に提出される見通しとなる。府議会で可決された場合、勝山高校は2020年度より募集停止となる。

統廃合には道理がない



大阪府では維新政治になってから、「3年連続定員割れの府立高校は統廃合を検討」とする府立学校条例(教育基本条例)により、府立高校の統廃合が進められてきた。また、大阪市の廃止・解体、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」の影響で、大阪市立の高校も「二重行政」として一元的運営を狙っていることも背景にあり、大阪市立の高校についてもあわせて統廃合の対象になってきた。

 第一次計画の5年間で府立高校6校が統廃合となり、また大阪市立の高校3校の統廃合計画が進んでいる。さらに少子化が進むとして、今後も府立・大阪市立あわせて8校前後を統廃合するとしている。

 今回の勝山・桃谷高校の再編については、全日制普通科高校の勝山高校を募集停止・廃校にして、その代わりに昼夜間定時制課程や通信制課程を併設して大規模化している桃谷高校の一部課程を新校に分離し、分離新設校を現勝山高校敷地に設置する形になっている。

 これまで統廃合対象となってきた高校では、「子どもは(廃校対象となった学校で)ていねいに見てもらえて伸びた」「子どもたちの学ぶ権利を奪う」「大阪府では2009年度入試で、不況を背景に公立高校に志願者が殺到して、定時制・二次募集を経ても行き場がない生徒が生まれた苦い経験から、中学校卒業者数に対する高校募集定員に余裕を持たせている。定員割れは必然的な仕組みになっているし、そもそも多少の定員割れによって、教育活動に悪影響を及ぼすわけではない」などと強い反対の声が起きてきた。

 少子化に伴う統廃合という安易な手法ではなく、少人数学級の実現など教育条件を向上させる好機としてとらえ直して対応すべきではないのだろうか。
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