日本財団の調査によると、不登校の定義には当てはまらないものの学校になじめないなど「不登校傾向」にあると思われる中学生が、不登校の生徒の約3倍いることがわかった。

調査の内容



 文部科学省による不登校の定義は、以下のようになっている。

「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」


 日本財団が2018年10月、インターネットを通じて6450人の中学生を対象におこなった調査によると、文部科学省による不登校の定義に該当したと回答した生徒は198人(3.1%)だった。

 一方で文部科学省による不登校の定義には当てはまらないものの、「1週間以上継続して欠席したことがある」「別室登校をした」などと答えた生徒は660人(10.8%)にのぼった。身体的な症状や学業への不安などが背景にあるという。

 日本財団ではその調査結果を基に、不登校傾向にある中学生は文科省の定義する不登校の生徒数の約3倍前後、人数では全国で約33万人前後と推計されるとした。

調査結果から考えられるもの



 調査結果からは、学校が中学生にとって必ずしも心地の良い居場所ではないことを示唆していることにもなる。

 学校をめぐる息苦しい風潮については、いろいろな角度から問題点が指摘されている。行政や地域社会からの締め付けや画一化。以前は「管理教育」といわれていたようなものが「ブラック校則」「ゼロ・トレランス」などの形で現れ強化されていること。「ブラック部活動」ともいわれるような部活動での過重負担。授業内容が高度になること。いじめなど生徒間の人間関係の問題。あげていけばキリがない。

 それらが組み合わさって、心身の負担に影響を与えているとも推定される。

 生徒が学びやすい環境や、居心地の良い場所づくりをしていくためには、何をしていけばいいか。簡単に答えが出るようなものではないが、ていねいに対応できる体制と人員の確保が求められているのではないか。

(参考)
◎学校生活になじめない“不登校傾向”の中学生 不登校の3倍に(NHKニュース 2018/12/12)
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