横浜市立小学校で「女子児童がいじめを受けてPTSDを発症して転校を余儀なくされた」とされる案件について調査していた市教委の第三者委員会が、加害者とされる児童や目撃したへの聴き取りをおこなわないまま「事実確認できない」としていじめを一部不認定としていたことがわかった。

 『東京新聞』2018年12月16日『横浜市教委、いじめ聴取せず一部否定 第三者委、加害児・目撃者を除外』が報じている。

いじめの経過



 報道によると、いじめは2015年に始まった。当時小学校3年だった女子児童は、同級生4人から暴力や暴言を繰り返し受ける、髪の毛を切るよう強要される、上履きの中にゴキブリの死骸を入れられるなどのいじめを受けた。女子児童は登校できなくなり、PTSDと診断された。児童はその後転校した。

 市教委の調査委員会の調査では、加害者とされた児童2人について暴力や暴言があったといじめを認定したものの、残る2人の行為については確認できなかったとした。またゴキブリの件については「混入の経過が不明」とした。

 調査委員会では調査の際、加害者とされる児童や、目撃した児童への聞き取り調査をおこなわないまま結論を出した。加害者側は「聴き取りを拒否した」とし、また目撃者については調査委員会が「以前のことで記憶が薄れている」と判断して、聴き取りは被害児童本人と当時の関係教職員などを対象範囲とし、当時の学校側の調査資料を精査することで加害者・目撃者への聴き取りに代えたという。

調査としては不十分



 報道されている経過通りならば、調査の経過としては不十分ではないかとも思われる。

 被害児童側は、市長部局での第三者委員会を設置しての再調査を求めているという。約100日にわたる欠席を伴う不登校やPTSD発症、そして転校を余儀なくされたことなど、特に重大な案件でもあり、ていねいな再調査が求められているのではないのだろうか。
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