兵庫県姫路市にあった認定こども園「わんずまざー園」(閉園)で不適切な保育がおこなわれていた問題で、元園児と両親が「必要な量の給食を与えられなかった」などとして元園長を相手取って訴えていた訴訟で、神戸地裁姫路支部は12月19日、元園児側の訴えを認め、元園長に約109万円の損害賠償を命じる判決を下した。

事件の経過



 同園では定員約40人に対し、園が独自で人数を水増しし、約70人を受け入れていた。一方で給食は約40人分しか発注せず、40人分の給食を約70人で分ける状態になっていた。

 そのため児童一人あたりの給食の量が少なくなる状態が続き、スプーン1杯程度のおかずしか与えられなかったこともあったという。

 2017年に不適切な保育状況が発覚して認可取り消しとなり、2017年3月末に休園となり、そのまま閉園した。

 訴訟で原告側は、給食が十分に与えられなかったことなどは虐待だと主張した。

 裁判所は原告側の訴えを認め、不十分な食事の提供などで成長に悪影響があったと指摘し、また保護者も保育園の実態を認識していれば利用することはなかったなどとして、慰謝料と保護者側が支払った保育料相当額の支払いを命じた。

 原告側の訴えが認められたことは、当然とはいえども、一定の成果ではある。この問題はあまりにもひどい虐待だといっていいものでもあり、今後このような劣悪な保育環境の保育施設を生み出さないようなしくみを作ることが、社会的にも求められている。
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