大阪市で2019年度以降、市立小中学校の学校図書館について、ただでさえ不十分な予算がさらに減らされ、専門職員の配置が減らされる可能性が出ている。

 3月6日の大阪市会委員会では、学校図書館専門職員配置に関する予算が減らされる案について、疑問視する質疑がおこなわれた。

 学校図書館については、国の方針として、専門職員の配置を促すなどの充実策が求められている。しかし大阪市では、非常勤嘱託の学校図書館補助員が担当校数校を兼務して巡回する形で、各学校からみれば週1回の配置となっている。学校図書館補助員が来ない日は各学校の自主運営となっている。

 しかし新年度予算編成方針によると、補助員の予算を2割減らし、配置日数も現行の半分ほどにするとしている。

 市側は、市立図書館職員のフォロー体制を強化することで影響が出ないようにしたいとする答弁をおこなった。

維新市政による公教育削減



 学校図書館については全国的にも充実させる方向での取り組みが進められているものの、必ずしも現時点では十分な水準に到達していない状況もある。

 とりわけ、大阪市においては維新政治による公教育軽視の姿勢もあり、学校図書館の分野でも影響が出ていることになる。

 大阪府でもかつて、橋下徹が知事だった2009年当時、府立高校の学校図書館常勤司書を廃止し、学校図書館の運営に支障が出た経緯もある。橋下徹は図書館について「貸し出し返却窓口は誰でもできる」かのような発言をしたり、府立高校学校図書館の問題が再燃すると「開けられているではないか」と居直るなどし、維新の支持者もそれに同調していたことを思い出す。

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 学校図書館の体制については、大阪市でも現時点では十分ではないにもかかわらず、さらに減らされるということにもなっている。かつて大阪府の維新府政で起こったことが、大阪市の維新市政でも事実上の再現となってしまう恐れが高くなっている。

 いくら現場の努力に委ねるといっても、体制が十分に取れなくなることは疑いの余地がない。学校では教職員の働き方の問題もあり、学校図書館にまで手が回らなくなる恐れが考えられる。

 人員や予算を減らした前提で、残った人による現場の努力だけでは限界がある。根本的には、手厚い予算を配置して、人員的にも十分な体制を取っていく必要がある。

(参考)
◎大阪市立小中学校の図書室がピンチ!? 予算削減の影響で(関西テレビ 2019/3/6)
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