参議院文教科学委員会で3月20日、大阪市の維新市政で「学力テストの成績を教職員の人事評価や給与に反映する」問題についての質疑がおこなわれた。

 辰巳孝太郎参議院議員(日本共産党、大阪選挙区)は、大阪市の教育の実態について、「定期テストに加えて、全国学力テストや大阪府チャレンジテスト・大阪市の独自学力調査なども加わり、教師も生徒もテストに追い立てられ、年間授業日の約1割がテストになっている。テスト実施日も授業日にカウントされるので、その分授業時間が削られて授業進度も速くなり、負担がかかっている」「振り返りプリントが小学校5年と中学校2年向けに作成され、全国学力テストの事実上の予行演習となっている」などと指摘した。

 大阪市では全国学力テストの成績が「政令市では2年連続最下位」だったからとして、「全国学力テストの成績を教職員給与に反映することこそ断念したものの、その代わりに大阪府や大阪市独自の学力調査の成績を元に教職員の評価をおこない、成績のよい学校には加算配分をおこなおうとしている」ことが、このような措置をおこなっている背景になったと指摘し、序列化と競争に拍車をかけると訴えた。根底には全国学力テストを実施し成績を公表する国の方針があり、大阪市のしていることともつながってくると指摘した。

 また辰巳議員は、子どもの貧困の問題や、大阪市で市立中学校の講師の欠員が続き70人が未配置の状態で教育活動がおこなわれていることも指摘し、「学力向上というのならば教育環境の整備が優先だ」として、大阪市に対して指導と助言をするように求めた。

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 柴山昌彦文部科学大臣は「学力テストについては、調査の趣旨・目的に沿った扱いとなるよう留意してほしい」「大阪市からは『行き過ぎた取り組みではない』という説明を受けているが、再通知したい」とする答弁をおこなった。

混迷を極める大阪市の教育環境



 大阪市の教育環境は、維新の市政になってから悪化・混迷を極めている。テストの点数を一面的に扱って偏重する競争主義、そして全国学力テストの学校別成績を公表して学校選択制の参考資料として提示したり、教職員人事評価とも結びつける施策が、混乱と困難を生み出している。

 そして教職員不足、「教育基本条例」による厳しい教職員締め付けなどの問題も。このような施策は正常とはいえない。このような教育施策は、できるだけ早期に転換することが求められる。

 また大阪市の施策には、国の方針も影響していることが指摘されている。国としても、全国学力テストの廃止・少なくとも現行のやり方の大幅見直しなど施策に踏み出す必要がある。
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