「東京新聞」2019年4月13日付に『いじめ防止法改正案 消えた具体策 遺族「子の命守れない」』が掲載されている。

 いじめ防止対策推進法改正の動きについて記している。

 同法改正案は、超党派の国会議員によって、2019年の通常国会に提出したいとしている。

 いじめ防止法改正案を研究する超党派国会議員の勉強会では2018年11月、改正案の「条文イメージ案」(いわゆるたたき台)をまとめた。しかし勉強会の馳浩座長(衆議院議員・元文科相)が2019年4月10日に発表した「座長試案」では、「イメージ案」で盛り込まれていた具体策が大幅に削除されているという。

 「条文イメージ案」では、子どもをいじめ自殺で亡くした遺族や教育関係者などからの聴き取りを重ねたうえで、学校現場での取り組みとして「学校いじめ防止基本計画の策定」「各学校へのいじめ対策委員会の設置」「いじめ対策主任の新設」などを盛り込んだ。

 しかし「座長試案」では、学校現場の負担が増えるなどとして、「条文イメージ案」で新たに盛り込まれた内容の大半を削除したという。そのことについて遺族側が反発しているという内容。

新規項目案「削除」の理由



 新たに盛り込まれた項目を削除した理由については、教職員からの聴き取りをおこなった結果「学校現場の負担が増える」と判断したことだという。

 学校現場の負担軽減・「働き方改革」の問題は深刻な問題になっていて、すぐにでも改善の必要がある。しかしそのことによって、いじめ対策にしわ寄せがくるような形になってはならない。教職員の増員や業務内容の精選なども含めて必要な手立てを取った上で、いじめ対策についても強化していくことが重要である。いじめ対策強化と教職員の負担軽減の問題を両立させていく必要があるのではないか。

 また、「重大事態」の調査委員の人選についても、現行では利害関係者を一切禁止しているが、「試案」では「利害関係のない者を二名以上含まなければならない」となっているという。明らかな後退であるといえる。現行法に基づく調査でも、学校・教育委員会にとって都合がいい結論が導かれているという指摘がされることもしばしばある。利害関係者が公然と入り込んでもいいとも受け取れる内容に後退すると、さらにひどくなってしまうのではないか。
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