大阪府・大阪市は維新政治のもと、保育条件を切り捨てる「規制緩和」をおこなっている。その一環として、国家戦略特区制度を用いた「地方裁量型認可化移行施設」の制度を2019年4月より実施したが、その問題点について国会で取り上げられた。

 2019年4月25日の参議院内閣・文部科学・厚生労働委員会連合審査会。田村智子参議院議員(日本共産党)が質疑で取り上げた。

https://youtu.be/gko30KQr75Q

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-26/2019042602_03_1.html

 大阪市では維新政治により、保育士の賃金が大幅に引き下げられるなどした。その影響で保育士不足なども招いている。大阪市では保育士不足解消のため「他県から大阪府内の保育所に採用された保育士に対して、USJ年間パス支給」という珍策・奇策を提案してあきれられている状況にもなった。

http://kyoukublog.wp.xdomain.jp/post-18596/

 またこのほかにも、国基準を上回る独自の保育基準を市独自で設定しながら、維新市政のもとで切り下げた事案もあった。

 田村議員の質疑では、以下のような指摘をおこなっている。

 田村氏は、認可外から認可への移行を促すはずの制度で、認可から認可外への転換を認める矛盾を指摘。大阪維新市政が、大幅な賃下げを強行して保育士不足を招きながら、保育士不足を理由に認可施設の保育士の配置基準の緩和を求め、それに応える形で新制度ができたと強調しました。

「保育の質落とすもの 大阪府・市提案の規制緩和 田村氏批判」 しんぶん赤旗2019年4月26日 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-04-26/2019042602_03_1.html


 保育士への待遇を悪化させて保育士不足を招きながら、つじつま合わせのために、認可施設を認可外保育施設に変更することで保育条件を切り下げて対応するというとんでもないもの。

 しかも国の制度では、公立認可保育所から認可外に移行することで国の補助が出る仕組みになっているとも指摘した。

 根本匠厚労相は「時限的な制度で、認可へ再移行するのが前提だ」と答弁したものの、田村議員は「認可への移行期限は自治体判断で延長でき、再移行を促す仕組みに実効性はない」として、答弁を疑問視しているという。

 大阪での維新政治のひどさは、保育分野だけでもとんでもないことである。保育条件の低下は、保育所で1日の大半を過ごすことになる子どもの生活環境にとっても重大な問題となってくる。保育は適当でよいと扱っているような維新が政治・行政を担うことは、重大な問題である。

 また大阪市がこのような乱暴な行為をおこなっている背景として、国の国家戦略特区制度を逆手に取っていることが判明したことにもなる。国の制度としても、抜け穴や不備を埋めるための改善策をとるべきではないか。
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