「子どもをテストで追いつめるな!市民の会のブログ」が2019年5月27日にアップした記事「平成30年度大阪府中3チャレンジテストについては9割弱の大阪市立中学校長が「どちらかと言えば公正でない」と考えている」。

http://no-testhyouka.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-00df25.html

 大阪府で実施され、高校入試の評定にも影響する「中学生チャレンジテスト」について、大阪市立中学校校長会研究部が市立中学校の校長を対象に実施したアンケートの結果がまとめられている。

 この記事によると、校長も「チャレンジテスト」のあり方には疑問を持っているという意見が多数だということ。

 「公正性は担保されていないと思う」(59.4%)・「どちらかといえば公正性は担保されていないと思う」(28.5%)、計88.5%が、公正性に疑問があるとする見解を示している。

 公正性が担保されているとする肯定的な見解は、わずか5%程度にとどまった。

校長からの意見



 自由記述の意見も注目に値する。

 テスト結果ばかりを重視し、授業での学習が評定での評価から外れつつあるといった意見が出ている。

 試験教科5教科(英語、数学、国語、理科、社会)の結果を、実技教科4教科(音楽、美術、技術・家庭、保健体育)の評定にも適用し、実技科目の評定にも影響が出ることは「間違い」とする意見も出た。

 学校平均点によって、生徒に対する評定範囲が指定されるという問題に対しては、「平均は個々の生徒の数値や学校の実態を表しているものではない」という疑問が寄せられている。

2018年度は自然災害に伴う混乱も



 また2018年度については、地震と台風に伴う混乱があった。

 当初は6月20日実施の予定だったが、実施日2日前の6月18日に大阪府北部地震が発生して府内でも被害が出たことから、9月4日に延期した。しかし延期予定日には台風21号が大阪府に接近したために再延期した。大阪府教育委員会は「台風2日後の9月6日実施を原則とし、台風被害や学校行事などでやむを得ない場合には9月12日までの任意の日程で実施する」方式で実施した。

 6月の時点で問題用紙・試験用紙が学校に届き、厳重保管されていたものの、9月の試験では当初の問題をそのまま使用した。そのことで、学校に問題が届いた際に教員が問題用紙をチェックした学校が複数あったことで、教師が類似問題などを解かせるケースがあったなどとは考えたくないが、問題が事前に漏れている可能性が完全に否定できないとも指摘された。

 さらに9月の再延期の際には、台風21号では大阪府全域で停電などの大きな被害をもたらしていたことから、生徒が試験に万全の状態で臨める状態ではないとも指摘された。学校側や大阪市教委がさらなる延期を求めたものの、大阪府教育庁の方針で通らなかったとする訴えもある。

 さらに、9月6日実施としたものの、学校の事情によっては後日実施も可能としたことで、試験が終わった学校の生徒がSNSなどを通じて試験問題を流したケースや、大手学習塾が生徒に対して試験問題の内容を報告するよう求めたケースがあったとも指摘され、公正性を担保できなくなるのではないかとも指摘された。

 しかも英語の試験では、「大阪駅前の旅行代理店で、新千歳空港行きの飛行機に乗りたいという外国人客が、関西空港発便の航空券を買う」という設定で、旅行客と窓口係員とが会話をおこなっている形式の問題が出題された。問題自体は6月以前に作られたものではある。一方で、チャレンジテスト再延期日の直前の台風21号では大阪府内でも大きな被害を受け、関西空港では台風で流されたタンカーが橋桁に衝突する事故や、乗客や従業員が関空島内に取り残される被害があった。また台風21号は北海道でも被害をもたらし、さらに試験日の9月6日未明には北海道胆振東部地震が発生して被害を受けたという事情もあった。少なくとも関空の被害が明るみに出た9月5日時点で問題の再検討・差し替えができたはずなのに、折しも被災地になった2地域に関する問題をそのまま出題したことで生徒がショックを受けたのではないかという指摘もあった。

「チャレンジテスト」は百害あって一利なし



 「チャレンジテスト」は、生徒や教職員を混乱に追い込むだけで、プラスの要素がないことを如実に示している。このような試験によって学校での普段の評定が左右され、また高校入試を含めて進路に影響が出るなど、問題といえる。

 このようなテストは、中止すべきである。
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