京都府が府内の小学校4年と中学校3年の全児童生徒を対象に実施している府学力テストをめぐり、城陽市教育委員会は2018年度の学校別成績を非開示とした。

 城陽市のNPO法人「行政監視機構」が情報開示請求をおこない、「一部不開示」とされた。同法人がこの措置を不服として、学校別成績も含めた全面開示を求めて、市の情報公開・個人情報保護審査会に申立をおこなっていた。

 審査会は2019年6月5日、「開示すべき」と答申した。

非開示が妥当



 同法人は学力テストについて、2015年度実施分から開示請求をおこない、審査会はいずれも「開示すべき」と答申している。4年連続で開示答申が出たことになる。

 一方で城陽市教育委員会は、2015~17年度分について、学校間の過度の競争や序列化につながることや、当該団体が開示を求める訴訟を起こし係争中であること、同法人が2014年分の開示を求めた訴訟では「配慮のない公表を認めない」とした大阪高裁判決が2017年に確定したことを理由に、開示を拒否してきた。

 この件は一般的な情報開示の範疇には当てはまらない。「開示しない」のが正解である。

 全国学力テストや他地域の地域統一学力テストでも、地域別や学校別の成績を開示したことで弊害が生まれている。

 「平均点の振るわなかった学校に通う生徒が、学習塾や部活動大会などで一緒になった他校の生徒から、学力テストの平均点をネタにされて暴言を受ける」「平均点の振るわなかった教科の教科担任が、PTAや地域から攻撃を受けて他校への異動・転任に追い込まれる」といった弊害も、各地で報告されている。

 テスト実施日直前には、授業は過去問・類題演習実施ばかりで通常の授業をしない事例や、過去問・類題を集めた問題集を宿題として出す事例など、テストの平均点を上げるための対策一辺倒になって、本来の「学力状況を把握する」という目的から逸脱する事例が多数報告されている。

 実際にこういう弊害が生まれているのに、「情報公開」を教条的に振りかざしても、野次馬趣味やマウンティング志向にしかならない。学校間の競争・序列化につながることは、過去の他地域の事例からも目に見えている。また校区間での地域差別的なことにもつながりかねない。

(参考)
◎学力テストの学校別成績「開示すべき」審査会が4年連続答申(京都新聞 2019/6/7)
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