2018年6月18日に発生した大阪府北部地震から1年となる。この地震では大阪府高槻市の小学校で、登校途中の児童が、通学路沿いの学校プールに設置されたブロック塀倒壊に巻き込まれて死亡した。

 高槻市の事故現場では、施工不良と劣化が主な原因ではないかと指摘された。ブロック塀が設置された過程については記録が残っておらずはっきりしないものの、プールが道路に面し、また道路の反対側には水路を挟んで民家が立地することで、目隠しと防音のために高い塀にしたのではないかと推測された。

 ブロック塀については、1978年6月12日の宮城県沖地震では宮城県内各地でブロック塀が倒壊して18人が死亡した経緯がある。同地震での死者の大半が、ブロック塀などの倒壊を原因とするものとなった。宮城県沖地震での被害を踏まえ、建築基準法の改正などがおこなわれた。

 1995年阪神淡路大震災でも、約2500ヶ所でのブロック塀倒壊が確認され、少なくとも11人がブロック塀倒壊によって死亡している。2015年熊本地震でもブロック塀倒壊の事例が生じた。

 そして大阪府北部地震で、ブロック塀の問題が再びクローズアップされた形になった。

 地震を受けた調査では、全国的にも危険なブロック塀箇所が多数見つかった。宮城県では、宮城県沖地震から40年が経った2018年度の調査では、ブロック塀の老朽化などにより、危険箇所は以前よりもむしろ増えていると指摘された。

 公立学校のブロック塀についても、2018年に文部科学省が各都道府県を通じておこなった調査によると、1万2000校以上で建築基準法施行令不適合や、老朽化などの危険箇所が発見された。

 文科省としては安全対策に国としても予算を付け、撤去や代替施設設置などを進めるとした。一方で具体的な取り組みについては、全撤去を図るケース、また危険なものへの対策はするが一律撤去はしないとするケースなど、実際に施策を進める各自治体によって温度差があるとのこと。

 安全対策にはいくら慎重を期しても「足りない」ということはない。想定されうる最悪の状況も考えて、手厚い対策を取っていくことが必要なのではないか。

(参考)
◎小4犠牲のブロック塀撤去で温度差 大阪北部地震1年(朝日新聞 2019/6/16)
◎<宮城県沖地震41年>危険ブロック塀、実は増加 02年度の3倍に 劣化対策が急務(河北新報 2019/6/16)
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