東京都教育委員会は2019年7月24日、2018年度に担任していた当時6年の男子児童に不適切指導をおこない不登校に追い込んだとして、区立小学校の男性主幹教諭(47)を戒告処分にした。

 教諭は担任していたクラスで2018年5月から7月にかけ、教卓前にほかの児童から切り離した「特別席」を設置し、特定の男子児童を計27日間にわたって「特別席」で授業を受けさせた。給食もそこで食べさせた。

 教諭は「おしゃべりをやめさせて授業に集中させる」などとしたが、本人や保護者にはその意図を説明していなかった。また校長は事実関係を把握していたが、黙認していたという。

 2018年7月上旬、忘れ物を届けに来た保護者が「特別席」に座らされている児童の様子を見て、区教委に問い合わせて発覚した。

 男子児童は「特別席」に苦痛を受け、2学期から登校できなくなり、そのまま卒業した。

 都教委は「指導のやり方の一つとしては否定しないものの、理由を説明すべきだった」などとした。

 生徒指導などの観点から席替えの座席配置などに配慮したりすることはありうる。しかし席替えや座席配置のやり方によっては、特定の児童生徒を吊し上げたり晒し者にしたりするなど不利益を受けさせることにもつながりかねず、慎重な配慮が必要になる。

 近年だと、和歌山市の小学校で2018年度、担任教師の指導の一環として、特定の児童の席を座っている机ごと前方に引っ張り出そうとするなどの行為もあって、児童がショックを受けて不登校になるなどして問題になった。

 2015年の茨城県取手市立中学校いじめ自殺事件でも、担任教諭の学級経営方針の一つとして、席替えの際に生徒指導に困難を抱える生徒の横に優等生タイプの生徒を「お世話係」的に配置することで授業中の落ち着きを作り出そうと図り、自殺した女子生徒と、担任教諭が「生徒指導が困難」と見なしていた特定の男子生徒が席替えのたびに隣同士になるように配置した。しかし、そのことで当該男子生徒に好意を持っていた別の女子生徒の嫉妬を呼び込んでいじめの一因になったことも指摘された。

 落ち着いて授業を受けられる環境作りなどは重要ではあるが、それ自体がいじめの要因ともなりうるようなやり方であってはならない。人権に配慮しながらおこなっていくべきである。
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