大阪府が中学生を対象に実施している「チャレンジテスト」について、生徒の成績評定(いわゆる内申点)への反映方法を各学年で統一する方針を決めたことが、9月2日までにわかった。

 現行の方式では、1・2年生対象のテストと、3年生対象のテストでは、成績評定への反映方法が異なっていた。新方式では、1・2年についても、現行の3年生で実施している評定方法に統一するとしている。

 現行の3年生での評価方法では、学校別平均点と大阪府全体の平均点を比較し、学校別平均点によって教師が評定を付ける範囲が左右されることになる。学校平均点が高い学校では各生徒の評定も全体的に高くなり、そうでない場合はその逆になる。実質的には、各学校間の相対評価、ないしは大阪府全体を単位とした相対評価に近い形になる。

 大阪府教育庁によると、「成績至上主義が改められ、日頃の学業態度など多様な評価が反映できるようになる」としているという。しかし実際はその逆である。

 チャレンジテストの成績至上主義となり、日常の授業よりもテストの平均点を上げることが目的化することになる。また高校入試が学校の「集団戦」ともなることで、各生徒間や教師に疑心暗鬼を生みかねないものともなっている。

 さらには各中学校間、また校区の各地域間での序列化にもつながりかねない。大阪市など一部の地域で導入されている学校選択制との兼ね合いでは、「平均点の高い学校」に入学希望者が集中し序列化が進む弊害も考えられる。

 現行の「チャレンジテスト」は、多くの弊害が指摘されている。弊害をさらに強化させ悪化させることにもなる。

小学生にも統一テストを導入構想



 また大阪府教育庁は、2021年度をめどに、府内の小学校5・6年を対象にした統一テスト「大阪府小学生力だめしテスト(仮称)」を導入する構想も明らかにした。

 参加は各市町村の任意とする方針だとしている。しかし実質的には強制に近い形で、多くの市町村が参加することになるとも思われる。全国学力テストとも相まって、学校間・地域間の競争や序列化、またテスト対策のための類題演習などが、さらに強化される恐れもある。
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