千葉県流山市で、市立小中学校に通っていた生徒がいじめを受けたにもかかわらず、流山市教育委員会が3年以上にわたって放置していたことが指摘された。

 被害者の生徒は3度自殺未遂を図り、中学校を卒業した現時点でもあまり外に出られない状態になっているという。

 流山市のいじめ対策調査会会長を務めていた藤川大祐千葉大学教授(教育学)が、2019年10月21日に文部科学省で記者会見して明らかにした。

http://dfujikawa.cocolog-nifty.com/jugyo/2019/10/post-a3b540.html

 2014年、当時市立小学校6年だった被害者は複数の同級生から暴行を受けてケガをした。被害者は30日以上にわたって学校を欠席し、また保護者はいじめ被害を訴えていたという。しかし学校側は対応しなかった。

 いじめは中学校進学後も続き、クラスや部活動で暴力を受けたり仲間はずれにされるなどの被害があった。被害者は自殺未遂をし、長期の不登校になったという。

 流山市教育委員会は、最初の事案発生から3年後の2017年4月になって「重大事態」と認定した。しかしいじめ対策調査会には調査依頼をせずに放置した。調査会が事案を認知したのは、さらに4ヶ月後の2017年8月だという。

 調査会は2017年9月より調査を始めた。しかし流山市教委が、被害者側と関係がこじれた特定の担当者を、被害者側との連絡をおこなう担当とさせたため、関係者の状況を悪化させて調査が妨害される形になっていたという。

 2019年5月に調査会委員の任期を迎えた際には、全員が再任を拒否して退任する事態となった。

 旧調査委員会による中間報告書が2度にわたって出たものの、流山市教委は「最終報告書が出るまでは対応しない」ともしたとされる。そのことを知った藤川氏は記者会見で事態を公表することにしたという。

 藤川氏は記者会見で、一連の流れを「法令違反」と指摘した。

 いじめそのものも極めて悪質である。それだけでなく、流山市教委の対応は適切なものだとは思えない。被害者を長期にわたって苦しめ、調査委員会の調査を困難にさせるような状況にさせるなど、おかしいとしか思えない。
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