大学入学共通テストでの英語民間試験活用について、文部科学省は当初予定の2020年度導入を延期することを正式に発表した。しかしその一方で、2024年度導入を目指すともしている。

 現行の大学入試センター試験に代えて2020年度より実施予定の「大学入学共通テスト」では、英語の試験について、英検など7種類の民間試験を最大2回まで受験させて出願資格とすることや、民間試験結果を入試得点への加点とする方針を表明していた。

 しかしこのことについては、受験生の家庭の経済力や居住地域など出自によって受験条件に差が出ることで、問題が指摘されていた。ほかにも、高校での学習内容と民間試験の目的は異なるのに民間試験によって高校の学習内容が左右されることにもなりかねない問題、民間試験で公正な採点ができるのか不透明な問題なども指摘されてきた。

 受験の当事者となる大学受験予定の高校生も含め、高校関係者・大学関係者など各方面から批判の声が上がっていた。

 当面の導入が延期されたということは、部分的とはいえども、当事者の声が文部科学省を動かしたということにもなる。

 またその一方で、引き続き課題も抱えている。

 あくまでも「延期」であって「中止・撤回」ではない。今回指摘された問題は、民間試験を導入する限りは避けられない問題であり、中止・撤回でしか解決しないのではないかと思われる。民間試験導入を前提でいくら制度を手直ししても、問題が解決するとは考えられない。

国語や数学でも



 また大学入学共通テストでは、ほかの課題も指摘されている。

 国語や数学の一部に記述式解答を導入するとされているが、採点基準や採点者の問題が指摘されている。各教科ごとに約50万人の答案を採点するとなると、数万人規模の採点者が必要になると見込まれる。採点を民間事業者に委託して採点者をアルバイトなどでまかなう方針だとされる。

 これでは、採点の質の担保などがされず、採点の公正性に疑念が出るのではないかとも危惧されている。この点についてもあわせて課題解決を図っていく必要がある。
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