萩生田光一文部科学大臣は2019年12月17日の閣議後記者会見で、大学入学共通テストでの記述式問題導入について、導入見送りを正式に発表した。

 国語や数学での「記述式問題」については、大量の答案を多数の採点者が採点することで、採点基準の意思統一などは事実上不可能で、採点基準にブレが生じる・採点や採点者の質が担保できない、受験生が国公立大学二次試験に出願する際に参考にする自己採点も困難などして、受験予定の高校生や、大学教員・高校教員・予備校講師などをはじめ、各方面から強い反対の声が起きていた。

 「大学入学共通テスト」では、「英語の民間試験活用」と「記述式問題導入」が大きな柱となっていた。しかし世論の批判で撤回させるような形で、11月に延期を発表した「英語の民間試験活用」に続いて、懸念事項となっていたものが大きく修正されたことになる。

 大学入学共通テスト自体は、2019年度の高校2年生が大学受験に臨む2021年1月より実施されるが、マークシート式で実施されることになる。出題形式としては現行のセンター試験に近い方式になるが、出題傾向は大きく変化すると見込まれる。

 当事者となる受験生をはじめ、世論の力で一定の成果が勝ち取れたものだといってよいだろう。当面は一安心ではあるが、今後同じような問題が再燃する可能性も捨てきれない。今後の動きについても注視していく必要がある。
このエントリーをはてなブックマークに追加 編集