岐阜市立中学校3年の男子生徒が2019年7月にいじめを苦にして自殺した事件に関連して、同級生が「この生徒がいじめを受けている」と訴えたメモの内容を、担任教諭が加害生徒側に見せていたことがわかった。

 このいじめ自殺事件では第三者委員会の調査報告書がまとまり、12月23日に岐阜市教育委員会に提出される予定となっている。第三者委員会では、担任がメモを見せた行為にも触れ、「担任がメモを見せたことでいじめがエスカレートした」と指摘しているという。

担任の対応



 2019年5月31日に同級生の生徒が、「この生徒がいじめられている」と具体的な事例を挙げて訴えるメモを、担任教諭に提出した。

 担任教諭はのメモを受けて加害生徒2人に事情を聴いたが、その際にメモの内容の一部を見せ「同級生がいじめを訴えてきた」と話したとされる。

 担任教諭はいじめとは判断せず、メモの内容を教職員間で組織的に共有することもないまま、「個人情報」として廃棄した。

 第三者委員会報告書では、担任の行為について「不適切」と指摘した。担任は生徒の自殺直後より1学期末まで学校での業務を外れ、2学期になると岐阜市教育委員会付として研修措置となったが、2019年9月末日付で依願退職した。

信じられないレベルでのおかしな対応



 担任教諭の対応は、「いまだにこんな非常識なことをしているのがいたのか」と、強い驚きを感じる。

 いじめに限らず、あらゆる被害告発・内部告発については、告発者や被害者周辺への二次被害を防ぐため、ソース元を隠蔽するのが基本中の基本である。しかし、いじめの訴えがあったとしてメモを見せたことで、いじめを激化させる引き金を引いたなど、信じがたいほどに異常な対応だといえる。

 いじめ対応としては、一番してはいけない最悪の対応である。

 その一方でメモは「個人情報」として廃棄したという顛末まで付けば、いじめを隠蔽しようとしていたのかと疑われてもやむを得ない。

 担任は直接いじめに加勢したわけではないとはいえども、間接的には事実上いじめに加勢したようなものだと批判されてもおかしくない。
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