現行の大学入試センター試験に代えて2021年度から導入される予定になっている「大学入学共通テスト」。この試験では「英語の民間試験導入」「国語・数学での記述式導入」の二本柱について、いずれも2019年までに導入延期が決まった。

いずれも、受験予定の高校生や、大学・高校関係者の世論が、導入延期を実現した力になった。問題点が指摘されていたものを、世論を背景にして変えさせたというのは、有意義なことだといってよい。

現時点ではあくまでも「問題点を検討・検証するまで延期」であり「撤回」ではない。とはいえども、入試制度の改善としては、関係者の動きを反映して一定の成果を得られたことになる。完全撤回が実現できるよう、引き続き動向に注目し、動きをとり続けていく必要もある。

「大学入学共通テスト」では、ほかの課題も指摘されている。

採点が外部業者に委託されることでの情報漏洩への不安なども、解決したとはいえない。

また新学習指導要領実施を背景に、従来の出題傾向が変わるのではないかともいわれている。国語では、評論・論説や小説などの長文をじっくりと読解する形式から、「実用文」を「情報処理的」に扱うというのがメインになってくるのではないかという危惧がされている。

これらのことについても、検討を要するものだといえる。
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