大阪市教育委員会は2020年1月31日、生徒に暴力行為を繰り返したとして、大阪市立東我孫子中学校(住吉区)で保健体育科を担当する男性教諭(54)を停職9ヶ月の懲戒処分にした。また「体罰」・暴力事件の管理監督責任を問い、2018年度校長(2019年度に上町中学校校長に異動)を戒告処分、2019年度校長(現校長)を口頭注意処分にした。

事件の経過


事件の経過は、以下のようになっているとされる。

加害者教諭は2018年8月、顧問を務めていたハンドボール部の練習試合の際、会場の観覧席に並べられたパイプ椅子をなぎ倒すなど、生徒への威嚇行為をおこなった。当時の校長は、教諭の威嚇行為について生徒から情報を得たにもかかわらず、聞き取り調査や教育委員会への報告をせず放置していた。

教諭は2019年7月から8月にかけ、ハンドボール部の指導中に部員に対して、「体罰」・暴力行為を複数回にわたって繰り返した。

また当該教諭は、2014年度と2017年度にもそれぞれ、「体罰」で懲戒処分や行政措置を受けた前歴があるという。

「体罰」・暴力行為の根絶を


俗に「体罰」ともいわれる、「指導」を装っての生徒への暴力行為や威圧行為・人権侵害行為は、生徒の人格を否定するものでもあり、また生徒の心身に悪影響を与えるものでもあり、決して許されることではない。このような行為を再発させないようにしなければいけない。

しかし当該教諭は、わずか数年の間に「体罰」・暴力行為を繰り返し起こしていたことになる。この教諭の間違った行為がなぜ繰り返されたのか、検証されなければならないといえる。

大阪市では桜宮高校事件(2012年)を受けて、「体罰」・暴力行為への対応を強化するとした。しかし実際は、当時の市長・橋下徹が「体罰」暴力行為を肯定する見解の持ち主であり、表向き取り組むふりをしながら実際にはおかしなところに見せしめ的に飛び火させたり、遺族側が起こした訴訟で争った経緯もある。また大阪市では、維新の市政により、教職員への締め付けなども強まっている。そういう大元についても問われなければならない。
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